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November 21, 2004

レッド・ドラゴン

電車男と私ということで。

電車男がベストセラーになっているそうだ。

2ちゃんねる独身男性板(通称“毒男版”)は僕もしばしばウォッチしている板の一つだ。さりながら、そのなかのスレッドの一つでこのような興亡が繰り広げられていたとは、メディアで取り上げられるまでつゆ知らなんだのである。

同僚が読み終えて書籍をくれたので、目を通してみた。
掲示板形式のまま掲載されていて、サクサク読める本である。
こういうことが、インターネット上で繰り広げられていたという事実は面白いし、板の住人のコメントやAAも見ていて吹き出してしまう。読み物としては、楽しい一冊と言えるだろう。

ただ、恋愛ドラマとして読むと、少々物足りないものを感じたのも正直なところ。だって、ハッピーエンドまで一直線だからね。途中でもっと挫折とかあるのかと期待してたんだよ。

そう、だからあえて言おう。
電車男氏はたんに運がよかっただけなのではないか?(いや、みんなそう感じていると思うけど)。

そうなのだ。彼は幸運だったのだ。
ただ世の中には—エルメスたんと会う前の電車男氏がそうであったように—女性と出会う機会がないとか、関係を深めるための努力の具体的な方法を知らない御仁もかなりいらっしゃるようだ(そういう人種が毒男板にはたむろっているのだ、ああ)。だから彼らに向けての啓蒙の書には仕上がっているのかもしれない。
あるいは、そういう人種がいることを知らない市井の多くの女性にとっても。

でも、思う。
そういう努力は当然のこととして、それでもなおうまくいくとは限らないのが現実だろう。
努力に比例して幸運に恵まれるかというと全然そうではない。やるべきことをやったとしても、結果としてうまく回っていかない程度の不条理さや不公平さに満ちているのが、人の世のなりたちである。
(だって俺なんか、車内で人を助ける機会はないけど、それ以外では電車男並みのことはふだんから心がけている。でも身の回りにエルメスたんらしき人はいないヨ…)。

この物語程度の努力はやるべきであるし、多くの人がやっていることだろう。
彼はたまたまストレートに幸運だった。けど、他の誰かが彼以上にがんばってふんばったとしても、そんなもんうまくいくとは限らないものだ。
そういう不条理や不公平。それらに遭ってなおその先に、はたして因縁なのか偶然なのか、得られて残るものがあるかもしれない。
その得られたものをこそ、人は愛おしく抱きしめられるのだろう。

30年も生きてみると、そう思わせることをいくらかは経験する。
いや、あまりにも当たり前のことなんだけどね。

電車男はたしかによいお話だけど、そこまでの含蓄はない。くれぐれもアキバ系毒男たちが誤解しないよう祈る。

さて、たまたまTVをつけたら、WOWOWレッド・ドラゴンを放送していたのでそのまま見てしまう。

むかし(僕の中学生の頃)プレイしたドラゴンクエストIIIは、作品としてはIIIなのだが、物語世界のなかでは、IやIIの前に起こったこととして位置づけられている。レッド・ドラゴンもそれと同じ。

そういえば、ハンニバルでは、レクター博士が、男の頭を切り開いて脳みそ削り取って焼いて食べるシーンが、まこと印象的でありました。
そういういささか強引なまでのインパクトのある場面は、レッド・ドラゴンにはないな。…だから、観賞後に焼肉を食べる機会とかあっても大丈夫です。たぶん。

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