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February 20, 2005

パッチギ!

ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく留まりたる例なし
世の中にある人と住家と、またかくの如し
(鴨長明「方丈記」)


歴史を舞台にした大作が好きだとこの前書いたところだけど、実は近い時代を舞台にしたものも、わりと好きだったりする。

時代で言うと、戦前、戦後から高度成長のあたりかな。まあ、いわゆる“昭和”ってやつだ。
だから、平成6、7年にNHKスペシャルで放送された「戦後50年・その時日本は」なんて、全回ビデオに録っていたりする(おっと、今年はもう戦後60年…このNスペも10年前なんだよな〜)。

それで思うに、NHKスペシャルのようなドキュメンタリーとは違って、フィクションにおける近過去の映像化って、けっこう難しい気がする。

みんな、その風景のなかで生きてきたわけで、つまり大半が覚えている景色を再現するわけだ。
でも、その景色を構成するはずの個々の事物が実のところ、具体的にいつまで存在していたかってことになると、人々の記憶はきわめて曖昧である。

時代にリアルと曖昧さが同居していることが、考証をかえってややこしくするだろう。
そんななかであえてそこを舞台にしている映画があると、素直に足を運んでみたい気分になる。


あと、近過去について思うことというと—。

けっこう前、日本とアメリカが戦争したことを知らない若者がいるということが、新聞記事になっていたのを読んだことがある。まあ記事になるってことは、つまりそれは問題なんだろう。

でも思うけど…知らないのってべつに、太平洋戦争のことだけじゃないし。

つまり戦争があったってことだけじゃなく、戦争が終わった後から今まで何があったかってことも、たぶん多くの若者は知らない。
たぶん、安保闘争とか高度成長とかあさま山荘事件とか、その時代を生きた人にはきわめてリアルなんだろう。
でも、そこからちょっとずれて生まれたとたんに過去のベールに包まれるちゃうんだよね。

たとえば、1970年代生まれの僕が大学生の時に経験したこと。
学生雑誌の企画で、かつての学生運動を取り上げようとしたことがあった。
でも、その時にサークルの仲間と議論してわかったけど、全学連と全共闘の違いがわかっている学生がほとんどいなかったんだよな。これは自分も含めて、なんだけど…あなたはわかりますか?

なので、戦争を知らない若者がいることが特段の問題とは思えないし、仮にそれを問題にするなら、安保闘争とか全共闘とか、あるいは高度成長とかオイルショックとか、はたまたプラザ合意とかバブル景気とか知らない若者がいることだって同じように問題ではないかい。

結局、近過去のことをみんなが知ってる自明のことだと思って、あえて学校の授業で教えないのが悪いように思う。前の世代の人たちは、続く世代が自分たちの生きた時代を知らないことを認識しなければならない。
いまはほとんど民間の口承に頼って伝えられるのみのこれら近過去を、丁寧に伝える機会をもう少し作ったほうがよいのでは、と思っている。

まあ、最近では1969年のアポロ11号の月着陸が嘘だったと信じている若者が少なくないことからも、近過去への正しいまなざしというものは、いかに危うい状態にあるかがわかる。
今後、JRは国鉄だったとか、ソ連という国があったこととか、阪神大震災とか、青山刑事は都知事と同じ名前だったとか、知らない若者が登場しても全然不思議ではないと思う。

近過去は、つねに忘却の危機に瀕している。まさによどみに浮かぶうたかた。佐渡島のトキのごとし。


それでまた、ちょっと論点がずれちゃうんだけど。
僕は出版社から刊行される、日本の歴史のシリーズものを眺めていても我慢ならないことがある。
戦後の扱いだ。
たいていどの出版社のシリーズでも、戦後の歴史は1巻に納まっている

それで思う。
おいおい、戦後ってもう60年もあるんだぜ。
なんでたったの1巻なの?

だって、たとえば明治を基準に考えて、戊辰戦争、明治維新から大正デモクラシー、関東大震災あたりまでを1巻で説明しますかね。
通常これら60年にわたる時代は、3巻くらいにまたがると思う。戦前・戦中の扱いだって、この昭和の最初の20年間に1巻くらいは割いて記述するだろう。

なのになぜ、戦後の60年を1巻で納めようとするのか…不思議でならないよ。
この60年は、そこを生きてきた人にとっては、まだ歴史になっていないのかもしれない。でも、上に書いたように1970年代生まれの僕らにとっては、もう半分以上が歴史なんだ。
そしてその割合は、僕らより下の世代に行くほど増える。

手を抜くな! おろそかにするな!
近過去をなおざりにするべきではない、と僕は言いたい。


と、前口上が長くなったところで、パッチギ!

1968年が舞台だ。昭和でいうと、44年。そして、京都。
上にも書いたように、近過去の風景の映像化ってけっこう難しいと思っている。ついつい背景には目を凝らす
スパイ・ゾルゲとか、この世の外へとか、血と骨とか見た時もそれなりに目を凝らしたんだけど、この映画もそういう楽しみ方ができる作品だと思った。

お話としては、どこかで試写会を見た人の感想にあったけど、大切なことを面白く仕立てて伝える。そういう映画だよね。
基本的にはユーモアに満ちあふれているんだけど、映画のクライマックスにさしかかる場面で在日朝鮮人の老人が吐露する、
「お前ら日本のガキ、何知っとる…知らんかったらずーっと知らんだろ」
このセリフ。絞り出されるような言葉が脳天に響くのですよ。
ずーん。

その点では、「血と骨」と同じ裏韓流映画。ただ明るい、ポップな裏韓流だね。

まあ実際にはそんなこと深く考えず、たんに沢尻エリカのチマチョゴリ姿と京都弁に萌え〜で見るのもよいと思う。
エリカたん…ハァハァ…(;´Д`)

ということで、ハァハァ映画にもケテーイ!

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Comments

沢尻エリカは私も大好きです。

誰も信じてはくれませんが、前の彼女に激似でした。

まあ見てくれでモテの成否を判断するのは関東では仕方ないことなんでしょうか。関西は、しゃべりですから。総合力ですからね。

コメント返せずじまいで申し訳ないです。

ぜひ飲みに御一緒したいですね。
最近西新橋に居ますが、まあ竹橋なら「おかん」とかでええんちゃいます?w

Posted by: yamadai | February 28, 2005 at 09:00 PM

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