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May 21, 2005

ナショナル・トレジャー

世の中には飛行機嫌いという人たちが少なからずいて、乗るのが嫌でたまらないという声を聞くことがある。

たしかに人工の入れ物に乗って、高速で空に浮かんでいるというのは、感覚的に不安を招かざるを得ない状況だろう。エコノミークラスのあの狭い席に閉じ込められ、時には乱気流に巻き込まれたりしながら数時間を過ごすというのは、人を不愉快—時には苦痛にさせるに十分だ。

ただ、僕についていうとそういう感覚はない。むしろフライトのその何時間かというのは、楽しみな時間である。
狭い座席はさほど苦にならないし(座席は、予約の際にあらかじめ通路側を指定しておく)、また映画は無料で見られるし、お酒も飲める。キャビンアテンダントのお姿を拝して“萌え”も楽しめる(おっと、これは余計か…)。
そうしたものに飽きたら寝てしまうか、あるいは沈思黙考し、その時々直面しているさまざまなものごとについて考えをめぐらす。フライトの時間は、僕にとって落ち着いて考えをまとめるよい機会である。

1週間の米国出張。

IMG_1131今回は、ある無線LAN企業のテクニカルトレーニングとカンファレンスを受講した。米国に来て新しい技術の動向を聞くというのは、(英語わかんないんだけど)ネットワークエンジニアとして他にない刺激となる。
おかげでちょっとした新しいビジネス検討のアイデアも固まったし、日程のなかで当地にいる知り合いとも会えたし、外国に出かけたことでリフレッシュにもなって初めてゴルフもしてみたし(おっと、これはまた余計)。とにかくそれなりに意義あるものであった、と言えるんだろうな。

そんな思いを抱きながら、帰国の途につく。
機内で上映されていたのが、ナショナル・トレジャー
宝探しのアクション映画。主演は、ニコラス・ケイジフリーメイソンが隠したお宝の地図が、なんとアメリカ合衆国の独立宣言書の裏に書いてあるという。そこでその宣言書を盗み出すというお話。いやあこの荒唐無稽さ、よいねえ! やはりハリウッド映画はこうでないと。

それにしても、United Airlinesは今時スクリーンでの上映なんだね。座席にTV画面がついていないのにはちょっとがっくり。人の頭越しに、前方のスクリーンを凝視する。

さて、ナショナル・トレジャーは荒唐無稽な設定とは裏腹、なかなか素晴らしい映画であったよ。何が素晴らしいって、このお話、アクション映画なのに、人が死なないのですよ。これってかなり希有なことじゃないですか。
宝探しもののアクション映画の名作として、かつてインディ・ジョーンズという作品があった。あれは無実の人々がバタバタ死んでいくよね。

で、悪者が死ぬなら自業自得といえるけど、道案内をしていた現地人の首がすっぱり飛んだりするのは、あまり気分よろしくないものである。
というか、そういう映画を平気で量産して楽しんでいる米国人たちっていったい何者!?
親鸞上人は、善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をやとおっしゃった。悪者だって助けちゃうという教えもあるなかで、無垢の人々、善意の第三者が死んで行くことに彼らは不条理や道徳性の欠如を感じないのだろうか。と言いつつそんな映画を見に行って楽しんでいる時点で、僕も同罪だけどね。

最近見た映画で不条理だったのは、タイム・ラインのフランソワ君である。
過去に紛れ込んでしまった教授を、学生たちが、量子コンピュータの力でできあがったタイムマシンで探しに行くという、これも荒唐無稽な冒険もの。

フランソワ君は、その映画の脇役で、人がよくて気の弱い青年。過去に旅立つことを渋る彼を、仲間の学生たちはお前のフランス語の能力が必要なんだと説得して、無理矢理連れて行く。行き先は英仏百年戦争のただなか。
さっそく一行はイギリス軍に捕まって、名前を問われ、フランソワ君が名乗ったら、このやろーフランス人じゃないか、敵だ!!ということでさっくり殺されてしまう。
その後は不幸なフランソワ君など、はなからいなかったかのようにストーリーは展開。主人公の男女たちはあれやこれやと活躍して生き残る。そして、ラストには時代を越えた大団円のシーンが待っている。めでたくハッピーエンド…って、おいおい、君たちはそれでいいんだろうけど、フランソワ君のことはどうした。
あまりにひどい話だ。フィクションとはいえ、非常に心が痛む。

でも、ナショナル・トレジャーは死なない。
唯一、物語が佳境に向かう頃に階段を踏み外して穴ぼこの底に落っこちてしまう、運の悪い人がいる(悪者たちの仲間の一人だ)。まあ、こういう不注意による不幸な事故はふつうに生きていて起こりうるもので、当人やご遺族にとっては不条理なんだろうけど、とりわけ不自然ではないだろう。

ということで、人が死なないアクション娯楽作品ナショナル・トレジャーは、貴重な1本として文部科学省推薦にできると思うよ。
ストーリー展開もテンポよいし。気持ちのよいお話です。


200506051817000帰国してからのトピックス。
5月27日に、Bフレッツの開通工事があった。

引っ越したマンションの部屋には、LANの先行配線がされていた。そして、Bフレッツが契約できるようになっていたのだ。
そのことを知ってOCNを、移転と同時に契約変更、OCN光 with フレッツを申し込んでおいた(僕はメールアドレスブログはもう13年間も会員を続けている@niftyのものを使っているのだけど、アクセス回線についてはOCNを使っている)。
ところが手違いなどあって工事日がすんなり決まらず、調整の結果、結局5月の末に設定されることになった。

開通工事自体は、すんなり完了。というか、たぶんマンションの管理室でスイッチングハブにLANケーブルをさしているだけなんで、僕にでも十分できる作業なのだけど。この作業のために1ヵ月半近く待ったということになる。
これでしばし追い込まれていたダイヤルアップ生活とも、おさらばだ。

しかし自宅に光ファイバが届くというのは、職業として通信事業に関わる身としては少なからず感慨深いものがあるな。

僕が社会人になったばかりの頃、最新の通信技術といえばISDN
その時、既に未来の通信はFTTH(Fiber To The Home)になると語られていた。その当時は、2005年頃、月額1万円程度の10Mbpsの回線といった形で、家庭に光ファイバが届くことを目標にしていたと思う。
あ、ベースとなる高速通信のプロトコルは、ATM(Asymmetric Transfer Mode, 非同期転送モード)ね。

ブロードバンド革命の進展により、実際の2005年には、月額5,000円程度(集合住宅の場合ね)で、100Mbpsの回線が届くことになった。そしてプロトコルとしてATMは消え去り、IPオンリーの時代になった。
入社してたまたまLAN担当に配属されて、職場で先輩社員の方々と、「もしかして将来、家庭でもLANを使うようになるんですかねえ」「イーサネットを使った通信サービスなんてできないんでしょうか、いやまさか」と話していたのも懐かしい。

さらにさかのぼり、就職する以前の13年前の5月。2400bpsのモデムで初めてNIFTY-Serveに接続したことを思う…。

実に感慨深い。


それまでダイヤルアップで我慢していたいろいろことが、Bフレッツの開通によって再開できるようになった。
その一つとして、Japan-A-RadioをFMラジオ代わりに楽しむことがある。

いまの部屋では、PowerBook上でiTunesを使って再生する音楽を、無線LAN経由でミニコンポに飛ばして聴けるようになっている。アップルコンピュータ無線LANアクセスポイント、Air Mac Expressの機能を使う。

それでiTunesだと、CDから移した音楽を楽しむほかに、インターネット上に開設されている海外のラジオ放送も楽しむことができるようになっているんだよね。
Japan-A-Radioは、そのリストのなかにある、インターネットラジオ局の一つだ。

日本ではインターネットラジオは規制が多いので、結果iTunesのリストには海外の局しかない。
僕は、ほとんど日本のポピュラー音楽しか聴かないという軟弱リスナーなんで、海外のインターネットラジオが多数聴けてもあまり嬉しさを感じない。だけどある日たまたま、そのリストのなかからJapan-A-Radioを見つけてしまった。

これも外国の局なんだろうけど、ずっと日本のポピュラー音楽を流し続けているのだ。これはいい、ということでたまに聴くようになった。前の部屋ではADSL経由で楽しんでいた。
Bフレッツの開通でリスニング再開。つねに音楽のある部屋になるわけで、悪くはない。いいもんだ。

しかし不思議に思う。著作権処理はどうなっているんでしょうな、この放送は。
まあ現実に聴けて、楽しめているからいいんだけどね。

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May 15, 2005

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語

萌え”だ。

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
不幸な3きょうだいの話なんだけど、その長女・ヴァイオレット役で登場するのがエミリー・ブラウニングちゃん。

美人ではないが、かわいい! ぽってりとした丸顔。長女役としての凛としたふるまい。あぁ…。
迷わず“萌え〜”を感じてしまうYO!

残された遺産を奪うため、3きょうだいをつけ狙うオラフ伯爵
彼女と結婚式を挙げるシーンに激しく嫉妬したのは、おいらだけではないはずだ。

えーと、、(ごほごほっ)。

5月15日から22日まで米国に出張してきました。
成田を発ち、サンフランシスコに向う飛行機のなかで上映されていたのが、この映画だったのです。
ちょうど国内でも公開が始まったところみたいだけど。

萌え”ってのっけから言ってしまったから誤解されそうだけど、それは見る人が見れば、という話。この映画ストーリーとしてもなかなか面白かったよ。
3きょうだいに降り掛かってくるさまざまな不幸を、知恵と勇気で乗り切っていくというお話。タイトルを見るとちょっとキワモノっぽいんだけどね。でも、秀逸なファンタジー作品です。

で、僕はずっと長女ヴァイオレットに釘付けだったんだけど…悪役はこれ、ジム・キャリーだったんだね。
飛行機のなかで見たので、画面が小さかったせいで、オラフ伯爵がジム・キャリーだとは気づかなんだ。
あとで言われて、そうだったのか、と思った。こういう変幻自在な人物を演じさせるには、まさにピッタリな人だよな。

ふぅ〜。


萌えに身をゆだねているうちに、サンフランシスコ国際空港(SFO)に着陸。

空港に着いて、今回一緒に行動するメンバとの待ち合わせのため、とりあえずカフェで休憩。
で、しばらく時間があるのでカフェでくつろいでいる最中に、いそいそと実験を開始する。

IMG_1092鞄から取り出したのは、N900iG

日本を発つ前に私用のFOMAiモードから、NTTドコモの国際ローミングサービス、WORLD WINGを申し込んでおいた。
申し込むと、空港でFOMA/GSM両対応の携帯電話機、N900iGを貸してくれるのだ。

実験とは、最近米国でもiモードが使えるようになったというので、それを試してみようと思ったのですよ。
もしぶじできたならば、わがモバイル道、一歩前進。

国内で使っているN2102VからSIMFOMAカード)を取り出して、N900iGにはめ込む。そして電源をオンにすると……ちゃんとアンテナのバーが立つ。ふむ。
とまあ、実は以前も国際ローミングは申し込んでみたことはあって、昨年のヨーロッパ出張の際にオランダやイギリスで日本の090番号のまま通話はできることは確認している。
ただ、その時ドコモが貸してくれたのはモトローラ製のGSM電話機だった。当然、iモードはできない。

今回は、FOMA N900iG。ちょっと大きめなんだけど、写真のとおり見た目は日本の普通の携帯電話と何ら変わりがない。

この、N900iGのiモードボタンを押す。そして、iメニューを選ぶと…。

IMG_1095iモード、キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!

当然日本語でメニューは表示される。

もちろん、iモードメールの送受信も問題ない。
メールを端末で直接受信することもできるし、iモードセンターに到着しているメールを、iモードから読みに行くという、いわゆるWebメール形式での使い方もできる。

さらに僕の勤め先では、会社のサーバとiモード網を接続して、iモードからメールや様々な業務システムを利用できる、モバイルコネクトというサービスを導入している。

携帯電話の画面で、会社のメールをWebメール形式で読んだり、グループウェアの画面にアクセスしてスケジュールの確認ができる
僕らの職場では4年くらい前から導入されているのだけど、とっても手軽で、とくに外出の多い営業系の社員にはかなり好評なシステムだ。僕も国内で外出する時は、日々活用している。

このモバイルコネクトiモードがここ米国の地で使えるというのなら、iモードと接続しているモバイルコネクトだって、たぶん使えるはずだ。

IMG_1097そう考えてモバイルコネクトのサイトのURLを入力してみる(ふだんはブックマークしてあるもので、親指で入力するとちょっと時間がかかる)。
接続してみると……問題なし!
ちゃんと認証画面が出てきて(モバイルコネクトでは、乱数表上で決めた位置にある数字を、認証のパスワードとして使う)、ログインすると国内と同じく普通に利用できる。

海外で、てのひらから会社のサーバにつながるようになったヨ!
ピース、ピース。

これまでも、ノートPCを持って行って、ホテルのインターネット接続サービスを使ってインターネットVPNで接続してメールを読むことが可能だった。今回も、もちろん持って来ている。

一方、国内では、わざわざかさばるノートPCを持ち運ばずとも、上述のように携帯からモバイルコネクトでメールを読めていた。まあ、携帯からだと返事を書くのはさすがに難儀なんだけど、連絡が入っていないか確認するにはこれで十分だった。
思うにノートPCを持ち運ぶのはもう古い。個人情報保護法のあおりで、情報を持ち運んで万一紛失したりすると社内的に非常にややこしいことになってしまうご時勢であり、そう考えるとノートPCは正直、面倒なんだよね。
それが携帯ならかさばらないのに加えて、モバイルコネクトのしくみなら、端末の内部に情報も残らないし。

そう、いまやビジネスも親指で処理する時代を迎えているのである。

それが、ついに海外でも同じことができるようになるとは…。
感動した!

そして、NTTグループの技術力は実に素晴らしい!!

さて、僕は英語が得意ではないし、本来業務は国内で完結している。だから、海外に出張する機会がそれほど多いわけではない。
それでもごくまれに、棚ボタ的に出張の機会はめぐってくる。そんな時は、モバイルについての実験の繰り返しだ。

以前は、海外から会社のメールをチェックする時には、会社のリモートアクセスサーバでダイヤルアップで接続していた。
日本まで国際電話をかけていたわけだ。
これは、なかなかの挑戦である。国際電話の料金も気になるし、日本とは勝手の異なる、ホテルのPBXを相手に苦闘しなければならない。

3年ほど前に、社内のリモートアクセスの手段として、インターネットVPNによる接続が導入された。
自分で契約しているプロバイダが海外ローミングも提供しているので、ダイヤルアップで出張先の最寄りの都市のアクセスポイントまで接続するようになった。こうすれば、国内の電話料金だけでいい。

ちょうどその頃からは、ホテルの部屋にTut Systemsの機器などが設置され、LANによるインターネット接続サービスが提供されるようになってきた。
これは有料のところが多いのだけど、こうしたサービスが備わっていればLANポート経由で、ブロードバンドの接続ができる。

SFO一昨年の出張では、これはちょうどサンフランシスコ国際空港だったのだけれど、公衆無線LANサービスによる接続を試した。

この時は、無線LANって、手軽でいい! と思った。
僕はもともと無線LANの技術評価を担当しているから、設定はお手のもの。接続自体は標準化されている技術で、国内でも海外でも勝手はとくに違わずに接続できる。
空港に入っているのはT-Mobile Hotspotで、これは米国のスターバックスコーヒーの店舗でも提供されていることがある。T-Mobile Hotspotには月額での契約だけでなく、最初の1時間何ドルかプラス1分10セントという従量制的な契約もあって、エリアからのオンラインサインアップが可能だったのでその場で使うことができた。

その成果は拙著にもまとめておいた。

昨年、ヨーロッパに出張した際には、初めてNTTドコモWORLD WINGを利用した。この時も私用のFOMAから申し込んだので、料金は気になって実際にはあまり使わなかったのだけれど…。日本の090番号のまま、海外で携帯電話が使えるというのは上で書いたとおり。

そして、今年は海外でiモードだ。
親指大国の国際進出だ。

思へば遠くへ来たもんだ。

かつてのダイヤルアップ時代、海外からの接続についてはIT系の出版社から指南書が発売されたりして、みなそれを手におっかなびっくりしながら接続にトライしていたものだ。そこまでして旅先で通信しなくてもいいじゃん、と、一般人たちの実にもっともな指摘を受けながら…。
(その時のおいらモバイラーたちの目標は、偉大な先駆者山根一眞サンだったのデス。アマゾンでの取材に携帯ワープロ持って行って電子メールを送るというワザを1994年に既にやってのけていたその偉業は、まさに金字塔としていつまでも語り継がれるべきものだ。マンセー!)。

それが今では、手のひらの上から、お手軽接続できる時代となったわけです。

さすが、21世紀だよね。

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May 08, 2005

世界の中心で、愛をさけぶ

珍しく、映画よりも、TVドラマのほうが好みだな、って思ったんだよね。

この日、WOWOWで見た世界の中心で、愛をさけぶのこと。
この映画の原作にあたる書籍を、昨年僕は職場の先輩に貸してもらって読んだ。
この作品はその時既に話題になっていたし、既に映画化もされTVドラマにもなっていた。

近所のレンタルショップにTVドラマ版の世界の中心で、愛をさけぶDVDが並んだので、今年に入ってからはそれを1枚1枚借りて来て、視聴しているさなかだ。
そのドラマのDVDは、まだ最後の1枚を見終えていない。だけど番組表でWOWOWで放送されることに気づいたので、先に映画版を楽しむことにした。

本も読んで、映画も見て、ドラマも外さないという作品はこのところ、他にもあった。それは、解夏だ。

映画解夏にも大沢たかおが出ていた。

大沢たかおつながりの両作品。
きっと彼は、純愛路線のストーリーにはかかせない俳優なのだろう。これはたぶん、よみがえり話には竹内結子が外せないのと似たようなもんだ。

世界の中心で、愛をさけぶ原作映画ドラマを比べてみると、例に漏れずドラマはキャストとか風景とか、大きく脚色してある。
もともと、あじさいの咲く町といった演出は悪くないなあと思ってドラマを見ていた。そして映画版を見終えた今考えると、僕の感覚としては正直、ドラマ版のほうが好きだなあと思ったんだ。

なんだろう。
やっぱり配役が僕好みなんだと思う。
綾瀬はるかは、僕はあまりタイプではないけど、主人公の彼がいい。山田孝之だ。
ドラマを見ているとつくづく、この彼の眉の太さは、地方の高校生を演じる上で適切なレベルだなあ、と思ってしまうのだ。

映画版の感想もちょっと記しておこう。
この映画は、たんに原作を映像化するだけでなく、いま出会った大切な人と、実は以前にいちどめぐりあっていたというオリジナルのエピソードを盛り込んでいる。

で、気になっているのだ。

好きになった相手が実は遠い過去に既に会っていた、ってそういう話、前にもあったよなあ。
えーと、なんだっけ…。うーん。

しかし、思い出せん。

だからとても気になる。
思い出せそうで思い出せない、もどかしさ。この、世界の中心で、愛をさけぶはその感覚とともに、僕の記憶の片隅を漂うことになるのであろうか。


さて、近況報告。
今回は、自分中心で、“正論”だと叫ぶ、ということについて。

shimbun竹橋駅の壁面広告に掲げられた文言を見て、ああそうだよなあと頷いてしまった。
「新聞社が一方的な意見を押し付ける時代は終わりました」
とある。毎日新聞の広告だった。

最近、引っ越しをした。
引っ越しにともなって読む新聞を替えて以来、新しく取り始めた新聞の紙面になんだかな〜と思うことが多い。

新しく読んでみることにした新聞は、産経新聞だ。
フジサンケイグループが発行する全国紙である。

購読をし始めたら、新聞社から契約の謝礼の手紙が届いた。
そこには、「産経新聞は、国益を重んじ、「正論」路線にのっとった報道をこれからも続けます」という旨が記載されていた。

このメッセージからして、僕にとっては気に入らないものだったんだよな。
これは僕が多分にひねくれているからなんだろうけど。
なんだこれは、って思った。

その、「国益」って何さ?

国益。
goo辞書で検索してみると、「対外関係における、国家の利益」とある。

産経新聞の報道を見ると、中国韓国ロシアに対しては批判的な論調が多い。とくに中国に対しては記事の中でもネガティブな表現が圧倒的に多い(中国嫌いの人は、溜飲を下げるんだろうなあと思う)。
翻って、米国に対してはこのような論調はほとんどない。

たぶん産経新聞は、日米協調国益にのっとると考えていて、一方、中国韓国ロシアなど近隣の国に対しては妥協せず、毅然とした外交を展開することが国益にのっとると考えているのだろうな。

それが本当に国益なんだろうか。

あえて言えば、中国ロシアと仲良くすることこそが国益にのっとると主張することも十分可能だと思う。
だって、いまの日本政府は安全保障理事国になることをめざしている。この目標をかなえることを国益であると設定すれば、それは中国ロシアの支持を得ないければ果たせないんじゃ?
だからこれらの国と、時には妥協してもよい関係を築くことは、国益である、と唱える人がいても不思議ではない。

つまり、国益というのは便利な言葉なんだ。
この言葉を掲げつつ、右から左まで180度、いずれの立場をとることができる。
産経新聞が唱えるところの「国益を重んじる」というのは、その180度ほどもある多くのある選択肢のなかから「産経新聞の主観にもとづく国益」を重んじるということでしかない。

国益とあわせて唱える「正論」路線というのも、よくわからない。
産経新聞には正論というコラムがあるから、それをPRしたいというのもあるのだろう。きっと。

でも、「これが正論だ!」と掲げられると、僕は抵抗を感じてしまう。
それに正論というコラムに書かれることのなかには、正論というよりは、各論だったり、極論もしくは暴論だったりするもののほうが多い。

それらはオルタナティブな主張としては意味があるのだろう。でも、それを正論と強調されるとほんまにそれが正論か? と思ってしまう。
しかし、だからといってコラムのタイトルをそのまま「暴論」という題名にしたら身も蓋もないわけで。
よって、オルタナティブな主張に、正論と名付けなければならない編集上の事情は、よくわかる。よくわかるんだけどねえ。。

まあ、新しい新聞に切り替えてから、「なんだこのドキュン新聞は!」と思う場面が日々少なくないわけです。

ただ、僕の実家ではもともと朝日新聞を購読していた。朝日の紙面に慣れ親しんできたから、ひときわそういう思いを強く抱いてしまうのかもしれないな、とも思う。
もし、僕が生まれた時から産経新聞とか、読売新聞を読んでいたら、朝日新聞の紙面に対して「なんだこのドキュン新聞は!」と言っていたのかもしれない。

そういうことはあるにせよ、それにしても産経新聞の論調はやけに鼻につく。彼らにとっての“国益”を、むやみに強調し過ぎている観は否めないだろう。
それってどうよ、と、強い疑問を抱いていたところだったので、地下鉄の駅を歩いていて目にした広告に、そうだよなあと素直に頷いてしまった次第なのだ。

毎日新聞社いわく、新聞は論争と共感の広場なんだそうです。
ということで、次に機会があったら、毎日新聞を読むことにしよう。

と少し考えて、そして思い直す。
産経新聞をとった理由というのは、紙面の論調ではない。実はそこは何ら考慮になかったのだ。
理由、それはただ
「夕刊がないこと」
これに尽きる。これだけだった。

夕刊は、ゴミになるのだ。
朝刊は電車のなかで読んで、駅か会社のゴミ箱に捨てられる。でも夕刊は家に届く。そのまま家のなかに蓄積され、散乱する。毎日数ページの量だが、1ヵ月もたつと膨大になる。
加えて、 僕が住む横浜市のゴミ収集では、古紙回収が月に1回しかない。引っ越したばかりの新居で、紙のゴミの量はとくに増やしたくなかったのだ。

ゴミの散乱していない部屋ほど、心地よいものはない。
その観点で、新しい部屋での新聞を選んだ。その時に産経新聞は、僕個人の私益に最もかなったのである。

そんな理由ですみません。
はい。

#このブログは、基本的に映画を1本見るたびに更新することにしています。
#ただし、映画というのは更新のトリガーに過ぎず、その感想の記述よりは、時々で自分が感じていることを記録することに主眼が置かれています。

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May 03, 2005

もしも月がなかったら

200505031508000わーい、わーい。万博だー(・∀・)

ということで、行ってきましたよ。愛・地球博
2005年日本国際博覧会。

ピース、ピース。

今回のブログは、その愛・地球博で鑑賞した映像アトラクションについて、感想を述べるものです。
(長いです。あしからず)。

気分はもうモリゾーだ! キッコロだ!
200505150804000


■第1部 愛・地球博会場に到着するまで

さてさて。なんどか述べているけど、僕は愛知県の出身。

話題の愛・地球博の会場へは、僕の実家から近いといえば、近い。
クルマで10分くらい行ったところにある駅から、愛知環状鉄道という第三セクターのローカル線に乗り、万博八草駅リニモに乗り換えればたどりつける。

そんなこともあって、ぜひ足を運ぼうとは思っていた。
そしてゴールデンウィーク。

混みそうだなあ、どうしようかなあ、と思っていた。
けど、たまたま大阪の友人に声をかけたところ、ぜひ万博見学したい! とのこと。ついに決行することになった。

大阪の友人たちは近鉄アーバンライナー名古屋駅にやってくる。
ということで、今回は実家からの最短ルートをとらず、僕はいったん名古屋駅までクルマでお迎えに上がることになった。

そこから万博用の駐車場まで移動し、パーク&ライド方式で会場に行く形になる。

さて、そもそもが愛知県民の日常的な移動手段はクルマだ。

愛知県民は、どこに行くにもクルマで行く。
たとえば銀行にお金を降ろしに行くのでも、コンビニに寄るのも、たばこ買いに行くのも、クルマだ。

電車に乗る機会は、通勤先や通学先がたまたま駅の近くにある場合をのぞくと、きわめて少ない。
もともと鉄道網が、名古屋市内の地下鉄など一部をのぞいて、全く発達していない。だから勤め先が駅の近くにあることのほうが珍しいのだ。

ちょうど米国の都市生活みたいな感じである。

で、その代わり、当然のことながら、道幅は広い。

愛知県において、首都圏をクルマで走っている時のようなストレスを感じることは、通勤時間帯や街中の渋滞をのぞけばほとんどない。
道路の整備は今日もどんどん行なわれている。これは万博開催のせいも大きいんだろうけど、僕が帰省するたびに新しい道ができていて、驚くことが少なくなかった。

そんなわけで、万博会場にもクルマで直接行けると手軽でいいんだけどな〜。

でも、環境万博という建前、万博会場にはそのものには駐車場がない。
そして少し離れたところに駐車場を整備して、そこからバスで会場に向うというパークアンドライド方式がとられているようだ。

その6ヵ所あるパークアンドライド方式の駐車場も、開幕以来満車になることはなかったみたいだけど、さすがにゴールデンウィークに入ってからは満車が出始めた。
比較的早い時間帯から混雑するのは、長久手、三好のようだ。

僕としては、実家と名古屋の中間にあって地理感がわかる三好の駐車場がベスト。
でも携帯のサイトで混雑状況を確認し、当日はその周辺で比較的混雑の少ない、「ながくて南」に向かう先を切り替えた。

ここで、他の都市から電車で来る方のためのアドバイス。

名古屋駅から地下鉄東山線で終点の藤が丘駅まで行き、そこからリニモに乗り換えて会場に向うことになるのが標準的な行き方になる。
だけど、リニモは混雑することが多いようだ。
だからリニアモーターカーに乗車することにこだわらなければ、僕は名古屋駅から名鉄が運行するシャトルバスで行くのがよいと思う。こちらは待ち時間はないみたい。

さて、僕らは午前10時過ぎに「ながくて南」駐車場に到着。そこからバスに乗り換え、15分ほどで会場に着く。
バスの車窓から見えるのは、平均的な愛知県の風景。田んぼや畑が広がっていて、住宅が田園の合間に点在し、そのくせ道は広く、道の両側にはところどろこ駐車場スペースを揃えた店舗がある。

のどかだ。

僕の生まれ育った、のどかな風景だ。

こんなのどかななかでホントに万博やっているのか? と思ってしまうが……。
しかし気づけばリニモが頭上を走っている。そして遠くに、何か未来的な建物の一角が。。

IMG_1054万博、キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!

わーい、わーい。万博だー。
小学生の遠足の時のように、嬉しくなる。


■第2部 愛・地球博の歩き方

愛・地球博長久手会場は、もともとは愛知青少年公園と呼ばれていた場所だ。
僕は、青少年公園には小学生の頃、父に連れられて訪れた記憶がある。そこが今回、博覧会の空間に全く新しく作り替えられていた。

IMG_1058長久手会場に着いてからは、どえらい混雑。

といっても正直、休日の新宿とかほどじゃないとは思うんだけどね…(あの混雑は本当にひどい)。
でも、ここは東京じゃない。愛知県だ。
愛知県で同じ空間のなかにこれだけの人間がいる光景は少ない。だからやはり、たいそうな混雑と言ってよいんだろう。

なんでも、僕らが出かけた5月3日には、入場者数が開幕以来最高を記録したようだ。
たまたま行列で並んでいる時に会話したニュージーランド館の人も、こんなに人が一杯いるのは初めてだと言っていた。

ちなみに入場者数の記録を振り返ると、ゴールデンウィーク中の3連休の人出は、こんなんだったそーです。

 5月3日 146,203人(開幕以来最高を更新)
 5月4日 149,214人(開幕以来最高をさらに更新)
 5月5日 68,340人

…って、5日に急に少なくなってるじゃんか!

いやあ、これは愛知県民の行動パターンが伺い知れるというものである。
きっと、それぞれの家庭で、こんな会話が繰り返されたに違いない。

「万博行くがや!」
「でも、でらこんどるみたいだよ」
「ニュースじゃ、パビリオン3時間待ちとか言っとるがね」
「行くと疲れるがね」
「わざわざこんどる連休中に行くなんてとろくさいわ」
「ま少し空くようになってから行こみゃあ」
「ほだ、ほだ」

聞くところによると愛・地球博の開幕直後も入場者が随分少なかったらしい。あの時も様子見をして、きちんと見極めてから行こうとしていたに違いない。
同じ心理である。実に愛知県民らしい。

さて、話を戻そう。

僕らは、開幕以来最高を更新した4日に、長久手会場の西ゲートから入場した。

パークアンドライドで来ると西ゲートに至るようだが、リニモで来ると北ゲートになる。
北ゲートの周辺は企業パビリオンゾーンなので、早めに行列に並ぶには北ゲートから入場したほうが好都合かもしれない。

西ゲートから入場して、僕らがまず行なったのは、マンモスラボの整理券をとりに行くこと。
大阪万博月の石に匹敵する愛・地球博の目玉展示は、シベリアから運んで来た冷凍のマンモスだという。

これは見に行かなきゃ!と誰しも思う。思うわけだが、事前にインターネットでチェックしたところでは、事前観覧予約は既に5月末まで一杯であった(T_T)
しかししかし! マンモスラボ単独観覧であれば、当日整理券が配布されるという。

その情報を得ていた僕は、入場と同時にグローバル・ハウスに向かった。11時前に駆けつけたにも関わらず、もらえた整理券は5時の回!
でも、なんとか目玉のマンモスが見られるわけだ。よかった、よかった。

IMG_1053次に、大阪の友人の知り合いが長久手日本館の仕事をしているというので、じゃあ見とこう、ということで竹かごみたいなもんでできたパビリオンに向かったのだが…。
この時刻で長久手日本館は、既に2時間待ちの行列。そして、整理券の配布も終了。日本館見学の計画はあえなく断念。
そこでとりあえず、並ばずに入れるグローバル・コモン(外国館)を見て回ろうということになった。

が、後で考えると、これはおそらく判断の誤りだったと思う。
並ばずに入れるところを先に見ようというのは安易な考えだった。本当は、グローバル・コモンを後回しにして、人気パビリオンこそ午前中から並ぶべきだったのだ。

なぜなら、午後になればさらに人出は増えるからだ。行列はさらに長くなる。
つまり、人気パビリオンを見られる可能性はさらに低くなる。

なのだ。

もし混雑している日に出かける人で、本当に人気パビリオンを見たいと思っているなら、できるかぎり早朝から行って、午前に並ぶことをお薦めします。
あるいは、夜かな。
夜になればまた行列は短くなる。これを狙って、夕方から入場する地元民もけっこういるみたいだし。
でも、遠くから来ている人になると、帰途の問題があるので、難しいだろうねえ。

いや、人気パビリオンなんてあえて見たくないよ、と言うならいいんだけどね。
でも、博覧会に来た以上ドキドキワクワクしたいと思うのなら、そういうのはもっぱら人気のあるところにしかない。1つか2つくらいは、見ておいたほうがいいと僕は思うわけ。

さてさて、そんな僕らグローバル・コモンを午前から昼にかけて見て回っていた。グローバル・コモンの展示の難点は、動きがないということに尽きる。
まあ、大半の国はお金のないなか、日本の、それも愛知県くんだりのわざわざ博覧会に出展しているんだから、しかたないといえばしかたない。むしろ、僕らの地元のお祭りに来てくれて、出展してくれて、ありがとうと言うべきだろう。

IMG_1044動きがほしいと思うなかで、時には踊りなどのショーを披露してくれるところもある。
具体的にはグローバル・コモン6イベントスペースで目撃したニュージーランドのマオリ族の踊りなんぞ大変面白かった。
会場のところどころで、毎日何かしらやっているのかな?

とはいえ、概してパビリオン自体に変化に乏しいわけで、しばらく見ていると、いい加減グローバル・コモンに飽きてくる。
午後に入って、僕らもさすがに企業パビリオンを見ておかねばという気持ちが高まってきた。
そこでどこかに並ぼうという気持ちになったのだが。

…この時点では既に手遅れに近い。
とにかく行列が短いところがあればどこかに並ぼう。そう決意を固めて企業パビリオンのゾーンをうろうろする。

IMG_1048企業パビリオンは、北ゲートの周辺に位置している。
世評の限りではいちばん面白いのが、日立グループ館だそうな。それから、地元企業の雄トヨタグループ館も人気がある。



IMG_1049

だが。どちらのパビリオンも、行列はもはや3時間待ちに届きそうな勢いだった。
ひょえー。

しばし彷徨していて、とりあえず60分待ちとプラカードに掲げていた三菱未来館@earthに並ぶことにする。
60分なら、と思ったわけだが、実際に並んでみると待った時間は90分近かった。
ぐったり…_| ̄|○
疲れたよ〜これは。なにせ、館内に入ってデモンストレーションが始まると、みんな座り込んじゃったもんね。

ところで参考として記しておくと、実は会場をうろうろしなくても、携帯さえあれば愛・地球博のサイトで待ち時間がリアルタイムにチェックできるんです。いやあ、便利な時代になりましたね。
携帯サイトは http://mobile.expo2005.or.jp/ です(PCからは見られません)。みなさん、必ずブックマークして行ってくださいね。

三菱未来館を見物した後は再び外国館めぐりに。
友人がドイツ語を勉強しているのでドイツ館に。…と思ったのだが、概して人気の薄い外国館のなかで、ドイツ館だけはなぜか3時間待ちの人気。

IMG_1056うーん、これは。きっとドイツ館には面白いアトラクションがあるんだろうな〜。
ということで、ドイツ館そのものは諦めたのだが、ドイツ料理のレストランがあったのでそこに入る。
なんと店員はみんなドイツ人(だと思う。少なくとも欧米人であることはたしか)。無愛想で、それがまた本場っぽい雰囲気を醸し出している。

ドイツビールで酩酊していると、マンモスラボの観覧時間が近づいてきた。おっと、急がなければ!

IMG_1059再びグローバル・ハウスに向う。人々の後についてマンモスラボに入ると…。

冷凍マンモス、キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!

おおー。すごい。本当に皮膚がついとるがやー。
(マンモスラボ内部は写真撮影禁止でしたので、外から見た建物の様子だけ…)。

でも、マンモスラボの観覧自体は、短い。ほんの一瞬である。すぐに終わってしまった…。

その後は、空いているパビリオンをまた2、3見て、そうして万博見学は終わった。

ふぅ〜。
混んではいたけど、天気はきわめて素晴らしかった。時折風が吹いていたせいで暑くもならず、気候としてはまさにさわやかな薫風香る1日だった。
よかった、よかった。

IMG_1062さあ、大阪からのお客さんを乗せて名古屋駅に戻るぎゃ。
せっかくだで、名駅味噌カツ食って帰ろみゃあ。





■第3部 東京の人に愛・地球博はおすすめできるか?

僕としてはそれなりに満足できた、愛・地球博
愛知県や東海地方の人にとっては、既に会場に出かけたり、これから訪れることを考えている人は多いと思う。
僕も今回、地元最大のイベントに足を運ぶことができてけっこう満足した。

では、愛知県以外の地方の人、とりわけ僕がいま住み働いている首都圏の人に、おすすめできるものなのだろうか。
これについては、素直にはおすすめとは言い切れないかもしれないなあ、というのが正直な思いだ。

なぜか。

なぜって、わざわざ愛知県くんだりまで万博見に行かなくても、首都圏には娯楽がたくさんあるからだ。

自然の叡智とか、地球大交流という高邁なテーマを掲げる万博といえども、所詮は巨大な娯楽提供空間である。

そこで他の娯楽空間と入場料を比較してみよう。

愛・地球博の入場料は4,600円。
これが、首都圏のテーマパークと比較してみると、東京ディズニーランドは5,500円。横浜の八景島シーパラダイスは4,600円になる。
首都圏じゃないけど、大阪のユニバーサルスタジオ・ジャパンは5,500円。

他の巨大テーマパークより若干安いが、しかし愛知県までの交通費や宿泊費が別途かかるわけだ。
そういうことを含めて考えた場合、僕には娯楽の質として、愛・地球博のレベルがそれほど高いとは思えんのだわな。

結論。

首都圏の人については、以下の3点のいずれかにあてはまるのでなければ、愛・地球博への来場を強くはおすすめはしません。

・イベントものが好きである、または博覧会という空間に興味がある。
名古屋愛知県、または東海3県の出身である、あるいはその地に友人や親類縁者がいる。
・万博行くついでに、名古屋うまいもん食ったり、名古屋城の金鯱見たりしてみたい。

うん。
もちろん、愛・地球博をそもそも首都圏の娯楽事情と比較して検証するのが適切かというと、疑問は残る。
日本全体を見渡せば、人口の多さに比例して娯楽施設も集中する首都圏という“地方”のほうが、特殊な土地だからね。

首都圏の人におすすめできるかという論点から離れて、愛知県の視座で考えてみれば、愛・地球博はそれなりに優れた娯楽空間だと思う。

愛知県には、そもそも最初から巨大テーマパークなんてない。比較することが間違っているのだ。

僕が素直に他の娯楽空間と比べてよいなと思うのは、盛り上がっている若者だけじゃないってことだ。
僕の母を見ればわかる。早々に地元の県会議員の後援会のツアーで見物に行ってきたんだけど、さらにもういちど父と行きたいって言っている。
わが親をこんなに突き動かすのは何?

思うに、他の最近できた娯楽施設は、楽しんでいるのは若い人だけだ。
若者は、常日頃から東海ウォーカーなどチェックしていて、新しい施設ができればすぐ遊びに行く。
他の土地にだって、だいたい横浜から神戸あたりまで、クルマで行ってしまう(感覚として、だいたいこれらの辺りまでは日帰りで行ける)。

娯楽施設といえば、だいたいが若者中心の作りをしているなかにあって、万博は幅広い世代を集めている。
僕の両親の世代を動かす娯楽空間なんて、他にあるだろうか。
あるいは、既に家庭を構える僕らの同世代。
子供のある家族なら、きっと子供を万博に連れて行くだろう。一生にいちどのことなのだ。
(ファミリーの風景を見ていて、会場では僕もつくづく、いまだ独身であることを悲しく思った)。

若者だけじゃなく、老若男女幅広い世代を引き寄せる空間なのだ、万博は。

お客としてだけじゃない。
会場に着くと、高校生、大学生っぽい人やら、もうリタイアした中高年世代の人がやたら数多く、ボランティアのカードを下げて働いている。
いや、働いているというか、傍目にみれば右往左往しているというのが正直な印象。他のテーマパークの係員と比べて、決して運営は洗練されていない。

ただ当人たちにしてみれば、万博に関わっているという実感はあるわけだ。
ある種の実感を、愛・地球博は多くの地域の人々に与えている。

そういう面で、愛知県の人にとって、これはとても意義ある催しなのだ。

なにしろ、愛・地球博は愛知県で開かれる最初の国際的な、国家規模のイベントだ。
この地方はそれなりの経済規模があるにも関わらず、なぜか国家規模のイベントとは縁遠かった。

ふりかえれば高度成長期には東京でオリンピック、大阪で万博が開催された。
その後の70年代から90年代にかけては地方都市である札幌で冬季五輪、広島でアジア大会、長野で冬季五輪。そして21世紀に入ってのワールドカップで日本各地が舞台になった。
なのに、名古屋愛知県はずっと蚊帳の外だった。
(本当は、1988年名古屋オリンピックが開催されるはずだった。でも、ソウルに敗れてはかない幻と終わった)。

もともと、愛知県民は新しいものに無条件で反対する習性が身についている。
(これは僕があまり好きになれない愛知の県民性である。以前のブログにも書いたことがある)。
国家プロジェクトと無縁だったことに由来して、この習性は(イケてない方向に)強化され続けてきた。この万博だって、誘致が表明されて以来ずっと、みんな心情的に反対だったのだ。

でも、やってみれば、できるじゃん。
やってみれば、みんなそれなりに盛り上がっとるじゃん。
そんなものなのだ。
僕はこれを機に、愛知県の人の自虐癖がぬけて、新しいものごととか、国際的なものごとに物怖じしない姿勢が定着すると、理想的だと思う。

うん。

ということで、この段落を要約すると、愛・地球博愛知県の人にとっては非常に意味のある空間で、他の地方、とりわけ首都圏の人にはさほど意味がないイベントである、ということになる。
まあ、身も蓋もないけど、そういうことだ。

でも本音を言うと、僕はおすすめしたいんだよね、愛・地球博
東京で働く僕の周囲の人たちに、ぜひ愛知県に来てもらい、この愛・地球博を見物して、ついでに名古屋のうまいもんでも食べて行ってほしいな、と思う。

それで知ってほしいのだ。東京でも大阪でもない、愛知県で行なわれる博覧会って、こういうものだ、ということを。
首都圏じゃない地方が精一杯やってできるレベルってこんなものなのだ。そういうことを、いい意味でも悪い意味でも体感してもらいたいなあ。

だから、お金をどぶに捨てることになっちゃうかもしれないけど、、
見聞を広げるためにみんなで行こう。愛・地球博
(僕ももう1回くらいは行きたいので、行く場合は声かけてください。ほんとに)。

あと、もう一つ。グローバル・コモンの展示について。
これは地球大交流というテーマを支える、重要なパビリオン群であるとは思う。
でも、そのテーマに鑑みて、地元・犬山のテーマパークである野外民族博物館リトルワールドのほうが優れていると思ってしまったんだけど…。

うーん。
むむ。

つくづく、リトルワールドは素晴らしいってことかな。ちょっとマイナーだけど。


■完結編 三菱未来館 「もしも月がなかったら」の感想

さて、愛・地球博は、6400万人の来場があった大阪万博、2000万人クラスだった科学万博花の万博に比べると、1500万人しか見込んでいない。
特別博だった科学万博花の万博より小規模な一般博という、ある意味不思議な万博です。

おおもとには、来場者数が多ければいいもんじゃないっていう発想の転換があるんだろうけど。
(前回2000年のドイツでのハノーバー万博は、4000万人の入場見込みに1800万人しか来なかったみたい)。

でも、博覧会の例に漏れず、パビリオンに行列はできるんだよねえ。

なぜ人気パビリオンに行列ができるのか、その理由を端的に言えば、企業パビリオンが少ないんだよね。

僕が愛・地球博以外で行ったことがある国際博覧会は1985年の科学万博だけど、たくさんの企業パビリオンがたくさんの未来像を見せてくれた。
僕は行かなかったけど、母が行った1990年の花の万博のガイドブックを見ても、企業パビリオンの数は多い。

それが愛・地球博では、少ない、少ない。
9つしかない。

上に述べた巨大テーマパークに匹敵するアトラクションを見せてくれるのは、結局企業パビリオンしかない。娯楽空間として見ると、その出来を規定するのは企業の出展数だと言えるけど、愛・地球博ではその数が圧倒的に足りていないわけだ。
(NTTグループも出展していないよ!)。

入場券さえあればインターネットで事前に観覧予約ができるのは、愛・地球博のパビリオンの特長だが、こと企業パビリオンに限っては、1ヵ月近く先まで予約で埋まっていたりする。なので、あまり効き目がない。

企業パビリオンの出展が抑えられた理由が、近年の経済情勢のゆえか、関東や関西でなく愛知県で開催されているからか、あるいは環境万博というコンセプトをとったことの帰結によるものか、僕はよく知らない。
でも、混雑すると行列が異常に長くなる要因は、企業パビリオンの少なさに由来すると断言していいと思う。理屈抜きの娯楽として楽しめるパビリオンが少ないから、人出が分散しないのだ。

ちなみに企業パビリオン以外の目玉パビリオンを挙げておくと、長久手日本館NEDOパビリオンマンモスラボもあるグローバル・ハウス。それに会場内でも少し離れたところにある、サツキとメイの家。そんなところかなあ。
サツキとメイの家は、予め応募しておかないと中には入れないようだけど。

個人的には、ドイツ館に何があったのかも、気になる。

さてさて。
今回、僕らが入場することができた企業パビリオンはただ一つ。
三菱です。そう、三菱。あの。

IMG_1050三菱未来館@earthもしも月がなかったらだ。

ということで、今回のブログでは、この「もしも月がなかったら」の感想を書こうと思う。
前口上が随分と長くなりました。ここからが本題です。

まず、「もしも月がなかったら」てタイトルがパビリオン名についているのは、わかりやすくていいよね。
何を説明してくれるのか、すぐわかる。
日立グループ館やトヨタグループ館じゃ、なんだかわからんがね。

僕らはそのわかりやすさにはひかれた。…と同時に行列時間が60分と(当日としては)短いので並んだわけである(まあ、並んでみると実際には90分かかったけどね)。

「もしも月がなかったら」では、月がいかに地球にとって重要かを教えてくれます。
月のない世界では、地球上に暴風雨が荒れ狂い、異形の生物が闊歩することになるんですね。…ということを、巨大シアターに映し出して実際に見せてくれます。

映像が眼前全てにわたって広がることになるんですが、実に素晴らしーー。
大迫力!! 恐竜が迫ってくるし、もし、小さいお子さんがいたら泣いちゃうかも。
でも短い。短いのだ。これは残念。もっと見せとくれ〜。

映像への感想はそんなところ。
説明内容について一言言わせてもらってよいでしょうか?

いやあ、僕にとっては、ニュートンで読んだり、NHKスペシャルで見たりしたことのあるようなお話だったヨ。
やや新鮮味にかけるかなあ。ほんと、「もしも月がなかったら」というタイトルから想像できる範囲のもの。
僕の勝手な希望を言うことを許してもらえるならば…。もっとハードな内容を頼みますぜ〜。Nスペ以上に知的で、斬新かつインパクトあるやつを。お願いだからさ!

正直、僕はそう思ってしまったのです。

でも世の多くの人は、もしも月がなかったらなんて考えたことないだろうし、ジャイアントインパクトだって初めて知ることだろうし。なにより多くの子供たちが最初に触れる内容として、十分知的な刺激にとんだものかもしれない。
だから、一般向けのアトラクションとしては、とりあえずこれでいいのだろう。

でも、ここは僕のブログだから、まだ言い足りないことがあります。
疑問点をさらに2つほど述べてもよいでしょうか。

疑問の1つは、もし月がなかったら、そもそも生命自体発生したのか? ということです。

地球に生命が誕生し、進化したのはまさに奇跡と呼ぶしかない偶然の重なりの上にあるように思う。もし、ほんの少しの自然界を構成する変数の値が違っただけでも、生命は発生しなかったんじゃないか。
つまり、月のない世界では、そもそも生命は存在しえない。そう思われてしまうのである。

2つめ。
月がない世界に万一、生命が誕生し、進化したとしよう。
どんな世界でも、生物は所与の制約のなかで懸命に生き延びようとするにちがいない。それを異形の生物同士の殺し合いが繰り広げられる、殺伐とした環境として描くのはどうだろう。
これって、フェアじゃない。

だって月のあるこの世界だって、生物は殺し合っているじゃん。っていうか肉食動物が捕食する行為は、それ自体が生命として当然の摂理だと思うのですが…?
営みはどちらの世界でも変わらないはずなのに、月のない世界の生物のみ不当におとしめ、不気味に描く。この描き方っていうのは、どうよ。

そんなふうに思ったのだけど、それは僕だけでしょうか。

まあ、なんだかんだいっても、百聞は一見にしかずと申します。
愛・地球博に行く人でこのテーマに興味を抱いたなら、三菱未来館@earthもしも月がなかったらをご覧になってみるとよろしいかと。
もし、行列がさほど長くなかったら、だけど。


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