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June 04, 2005

saku saku ver.1.0

会社のセキュリティ対策で、携帯電話の電話帳が使用禁止になってしまったヨ!
理由は、個人情報保護法対策ってわけ。セキュリティ原理主義、ここに極まれり…。

はぁぁぁ。

というのが今回の僕の近況なんだけど。
そこに触れる前にこのほど買ったDVD、saku saku ver.1.0のことを記しておこう。


IMG_1150そう、買ってしまったのですよ、saku sakuのDVD。saku saku ver.1.0
saku sakuって何? と言っているアナタ! いま大ブレイクしているこの音楽バラエティー番組をよもやまだご存じない?

以前にも書いたのだけど、、
謎のサイコロ人形キャラ、増田ジゴロウの放つ辛口トークと、いまをときめく20歳のモデル、木村カエラちゃん(ボーダフォンのCMで、“カエラはメールし放題〜”とのたまってたあの女の子だ…忘れないで感じることを〜♪)のぶっとび発言。爆笑だ。
この絶妙なテンポの虜になり、朝からテンションの高い時間を過ごしている。

IMG_1157といっても実はこのsakuSaku神奈川県の県域ローカル局、テレビ神奈川で放送されているものだからね。関東でも視聴できない人がたくさんいるのが現実で、会社でこの番組の魅力をいかに熱弁しても必ずしも理解されないことが多いのは残念なところだ。

IMG_1155ただ一方で、視聴可能エリアに住んでいる人々のなかでサクサカーは着実に増えているのであるよ。
ぜひ、いちど騙されたと思って、朝の放送を見るか、そうでなければこのDVDを見てほしい。

あなたもきっと、ハマるはず!

IMG_1159とくにテレビ神奈川については、僕にとってもう一つのお気に入り番組として外せなかった「みんなが出るテレビ」—神奈川の女子大生が県内の口コミ情報をレポートするという番組なのだけど、これがこの4月になってからのセカンドステージでパワーダウンしてしまった分、saku sakuにかける期待は増している。

ただ、いかにマイブームな番組とはいえ、わざわざDVD買うのはちょっと散財のリスク高いかなあと、軽い葛藤もあったんだけど。見終えたいま、買ってみて正解だったと思うな。全く後悔のない1枚であったよ。
ver.2.0が、待ち遠しい。出るんだよね? …いや、これだけのヒットなんだから、必ず出るでしょう!


さてー。

携帯電話の話に戻りますか。

会社で、携帯電話の電話帳が使用禁止になってしまった。
理由は、冒頭で述べた通り個人情報保護法対策ってわけだ。そう、携帯電話の電話帳は、個人情報のかたまりってことになるんだよね。

言われてみれば、全くその通り。個人情報の定義は、端的に言えば氏名とそれにひもづく情報のこと。なので、“氏名+電話番号”というのは、当然のように個人情報に該当する。
くぅ、誰も反論できない。

僕の勤務先は、個人情報保護法でいうところの個人情報取扱事業者に該当している。
個人情報保護法の完全施行は、2005年4月1日から。それがスコープに入ってから、セキュリティ関連の運用が少しずつがんじがらめになってきた。たとえば、ある日ノートPCの持ち出しが禁止になってしまったりとかね。
真綿で絞めつけられるとは、こういう感じを言うんだろな。

あなたの会社はどうですか?

この辺りの対策については、同じ個人情報取扱事業者であったとしても、実際には企業によって対応の温度差がかなりあるみたい。
僕が見るに、大きな違いは日常的に個人情報を扱って主たる事業をしているか、あるいは専ら法人相手の商売をしているか、というところにあるような気がする。法人に属する個人の情報もれっきとした個人情報だから、実はきちんと管理しなければならないのだけど、現実レベルでは運用に差はつきがち…なんだと思う。

運がよいのか悪いのか、僕の勤務先は電気通信事業者だ。会社としては、膨大も膨大、数えきれないほどの個人情報を抱えている。同業他社には、史上最大の情報流出事故も起こしたところもある。
その二の舞はごめん。情報漏洩事故が生じる可能性を潰すために、時には現場の業務を無視して理不尽にルールが定められる。職場はパニックに陥る。

人びとはそれを、セキュリティ原理主義と呼んだ。

 「“セキュリティ原理主義”に陥るな」――奈良先端大 山口氏
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/NEWS/20040601/145236/

そしてある日、社内で誰かが気づいてしまったんだよね。携帯電話ってどうなんだ、と。
考えてみれば、上述の通り携帯電話の電話帳も、個人情報の要件を十分過ぎるほど満たしている。だから、社員の誰かが携帯電話を紛失し、その電話帳に顧客の氏名や電話番号を登録していたとしたら—それは個人情報流出になってしまう。

これは大変だ。

携帯電話の電話帳も使用を禁止するべきではないか。
そんな議論が、社内のセキュリティ対策会議で真剣に行なわれたのです。

そんなばかな! これこそセキュリティ原理主義の最たるものと、その時は思った。
論理的に考えればたしかにそうなるのだろうけど、社会慣習として携帯電話の電話帳を使わないことはありえないだろう。無用にハードルを上げてしまって、現実のビジネスの効率はいったいどう考えるんだよ。

IMG_1160いや、みんな無理があるのはわかっていたんだよね。わかっていたけど、やっぱり反論できない。反論するための理屈が組み立てられないんだ。
そこでなんか変だという思いは抱きつつ、妙なことで刺されるのも嫌だから、素直に会社から貸与されている携帯電話の電話帳を僕もクリアしたわけだ。

はぁ。

しかし携帯電話を紛失したら、本当に情報の流出事故として届けることになるのだろうか…?

個人情報保護法は、法律の規定のみならず、実際の運用のガイドラインとして各省庁が業界別のガイドラインを作っている。実際にはそれぞれのガイドラインに従って、各社は対策を立てることになるだろう。
僕の勤務先は、電気通信事業者だから「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」が適用されるんだよね。

そこには、こんな条項がある。

 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン
 第22条 電気通信事業者は、個人情報の漏えいが発生した場合は、速やかに、当該漏えいに係る事実関係を本人に通知するものとする。
 (略)
 3 電気通信事業者は、個人情報の漏えい等が発生した場合は、当該漏えい等に係る事実関係を総務省に直ちに報告するものとする。

このガイドラインがあるからこそ、通信事業者は情報流出があるとこまめに発表し、総務省に届け出ているわけだ(…おそらく、他の業界でも似たようなガイドラインが定められていると思う)。
では、電話帳登録のある携帯電話を紛失した場合、この第22条にしたがって、通知や届け出を行なうことになるんだろうか。論理的に考えればそうである。でも、まさかそんなことを…ううむ、という思いがあった。

5月30日。asahi.comを見て目が釘付けになった。
ああ、やっぱりそうなんだ。

 顧客119件登録の携帯電話盗難 日興コーディアル証券
 http://www.asahi.com/digital/mobile/TKY200505300258.html

ついにこの日が来てしまったか…。携帯電話を紛失した場合でも正直に公表する事例が、ここに登場したのだ。
金融業界と通信業界という業界の違いはあるにせよ、ともに個人情報保護として求められる水準はだいたい同じくらいだと考えていいだろう。やはり届け出ることになるのだ。

日興コーディアル証券自身によるプレスリリースがこちら。

 盗難被害によるお客様情報の流出について
 http://www.nikko.co.jp/news/2005/n_20050530_01.html

衝撃のあとには、ため息がやってくる。そしてその思いは胸の内を去ることはない。
ふぁぁ。
こんな時代になったんですね、もはや。気づけば僕らは携帯電話の電話帳も自由に使えない時代に生きることになったわけです。

携帯電話だけじゃありませんよ。
氏名とそれにひもづく情報といえば、ビジネスの現場ではもう一つ忘れてはいけないものがあるんです。

名刺だ。

思いっきり個人情報だ。
携帯電話の電話帳が禁止になるのであれば、実は顧客の名刺の持ち出しも禁止しなければならない。顧客の名刺をうっかり落としたら、個人情報流出だ。
幸い、まだ名刺を落としたことで監督官庁に届けたという事例はないみたいだけど。いや、それはたまたま起こっていないだけだろう。これからきっとそういう事例が出るに決まっている

予言しておこう。遠からぬ未来、こんな見出しが新聞の紙面に踊ることになるだろうね。
「××社、顧客情報○○件流出 社員が名刺入れ落とす」


そんなわけで、ビジネスの現場ではてんやわんや。まさに個人情報保護という泥沼にはまったかのようで、そして抜け出せない。
さらに、こんな法改正が検討されているという記事を目にした。

 自民、個人情報保護法改正案を了承・漏洩の従業員に罰則
 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20050422AT1E2100721042005.html

むむ、さらに厳しくするつもりなのか。個人情報を不正に漏洩させた従業員に罰則とは。
たしかに現在の法律に罰則規定がないのは、見る人が見れば不十分な話だろう。

ただ法律の個々の条文が効き目をもった結果として、その先に何が起こりうるか。それを読まなければならないだろう。
ミノフスキー粒子の発見が、有視戦闘が可能な兵器としてのモビルスーツの登場を促したように。巨神兵を用いた火の七日間で汚染された世界に、浄化システムとしての腐海が急速に面積を広げたように
個人情報保護法が制定された時、誰が携帯電話の電話帳を使えなくなると予測したであろう。

そこで僕は予測する。

この改正案が通ったら、社員が退職する時にはこれまで交換した名刺を会社に納めて辞めないといけないですね。仮に営業マンが転職して、新しい会社に前の会社の名刺を持っていったら、それは“犯罪”です。
それでは、せっかく再就職しても即、退職の憂き目を見てしまいます。

ううむ。

名刺を持ち出せない営業マンとはあわれなもの。
これからは営業マンの転職活動は、人脈で評価されるのではなく、真の営業力が勝敗を決めるかもしれません。

これからは選挙活動も大変になるでしょう。
政治家の事務所も、電話をかけたり葉書を出したりして投票を訴えようにも、各種団体の名簿はもうもらえないわけだから。政治家のセンセイたちも、きたるべき選挙に突入した時初めて自らの制定した法律が、どのような影響を及ぼすものだったのかに気づくのでしょう。
民主党の次期衆院選公認候補に決まった、わが後輩・熊谷君の選挙活動はいかに…!?)。

あと、個人持ちの携帯電話を業務に使わせている場合ってどうなるんだろう。
会社の顧客の情報を、私用の携帯電話に登録した時点で、それは個人情報流出なのではないだろうか。
個人持ちの携帯電話を業務に使わせる例は少なくないと思う。僕の聞いた範囲では、たとえば大手新聞社のA社やM社ではそういう運用をしているらしい。記者が取材先の情報を登録したら、個人情報流出ってことになるのでは…。あ、報道は個人情報保護法の適用対象外だから、よいのかなあ。

うーん。どうなるのだろう。
繰り返しになるが僕らはまさに個人情報保護という泥沼のなかを泳いでいる。ちょっと前まで杞憂で片付けられたことが、いまは杞憂でないとは言い切れない。
どのような事態が予測されるのであれ、こういう時代に僕らは生きるのです。


このことで学んだこと。

まず、法律とか規則とか、自分に関係ないところで作られていると思っていても、それは直接的に自分の身の上に影響を及ぼしてくるものなんだな、ってこと。時には暴力的なほどに。

とはいえ個人情報保護法の必要性は僕も否定するものではなく、それが制定されるには時代の要請があったと思う。
けれど、結果としてビジネスの現場でセキュリティ原理主義を加速させることを担っちゃっている。
これ、法案をてがけた官僚たちや、立法にあたった国会議員のみなさんはどう予想していたんだろう。おそらくこの状況をリアルに見通すことなど、彼らにはきっとできていなかったのではないか。

つまり、法律や制度というのは、その当初の意図とか、制定したものの予想の範囲を越えて動き出すことがあるということだ。
想定の範囲外、って表現すれば、ちょうどいいのかもしれない。

ここから先は、僕としてはちょっと論理の飛躍もあると思うのだけど、おそれずに書いてみよう。

たぶん、規則や命令、あるいは法律(もしかすると憲法改正論議にもあてはまるかもしれない) —こうしたものは、現実によほど不都合がない限りあまり増やさないほうがいい。
シンプルであることこそが実はいいんじゃないかと、最近は思うのだ。

それなのに、実際にそういうものを作る場になると、誰から見ても反論できないって内容が持ち出されることがある。
たとえば、多くの人が共有すべきものとされている規範ーつまり道徳とかモラル、マナーといった範疇に属することを持ち出されると、それを盛り込むことに正面から反対しにくい。反対できないから、書いちゃえということになってそのまま通ってしまう。
でも、そういって加えたものが後になって、想定外のところで何かの妨げになったり、ものごとを阻んだりすることがあるんじゃないだろうか。

だから考え方を改めよう。たとえそれが正論だったとしても、慣習的に保たれてきたものならば、不都合がない限りこれからも慣習に任せておけばいい。
命令や規則なんてものは、必要最低限の範囲におさまっているほうが美しい。個人情報保護という泥沼にあって、いまはそう思っている。

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Comments

自己レスです。こんなブログ見つけました。

「sakusakuを見て、想うこと。」
http://oneofsakusaker.at.webry.info/

Posted by: みずみず | June 12, 2005 03:06 PM

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