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October 30, 2005

春の雪

世の中、さまざまな愛の形がある。

先日、ある公園でのんびりしていたらちょっと離れたところのベンチに、20代後半くらいのわりと整った服装をした若い女性と、50代くらいで髪の薄いスーツ姿の男性が座っていた。僕の座っていた場所とちょうど向かい合うような位置関係にいたので、自ずと二人の姿が目に入る。

ちょうど年の差から親子か、あるいは親戚同士かな、と漫然と眺めていたけど、どうも様子がおかしい。あの二人、距離が近すぎる。よく見ると手を握りあい、おじさんは女性の肩にもう片方の手を回している。そして耳元に顔を近づける。

わわ。この二人は…正面から見られない。いたたまれなくなって席を外す。はたしてどういう関係でこうなったのか知る由もないけど、夕暮れ時の公園の一角が、まさに二人の“世界の中心”になっていた。

うーん。世の中、さまざまな愛の形がある。

僕についていうと、最もよく出会う形はこんなもの。
あるところで女の子と知り合い、まあそれなりに仲良くなる。向こうも僕のことを嫌ってはいないようだし、食事や映画に誘って何回かデートもする。ウキウキ。

話ている限りでは、どうやら彼氏もいないようだ。おお。よし、ここいらで告白してみるか。
心臓をドキドキバクバクさせながら、おずおずと切り出す。「えーと、実は…」。なんとも不器用な物言いになってしまうなか、言葉を選んで精一杯気持ちを伝えるのだが。

「え!?」。

さっくり返される。

「ごめん、おおみずくんはいい友達」。

へなへな〜。なんだよそりゃあ。

こんなことが何回か続いた。
それにしても、と思う。彼氏がいないんだったら、ものは試し。とりあえずつきあってくれてもいいんじゃないだろうか。しかし、どうやらそういうものではないらしい(逆の立場になったことがないのでよくわからない)。

ということで、彼氏のいない女性に告白して、つきあってもらえない。これが僕が最も経験する愛の形なのだ。いや、それは愛じゃないぞという常識ある方々の意見も寄せられそうだけど。

ああ、いかんいかん。
こんなことを書いていると、またブログの内容がへたれになってしまうじゃないか。

世の中、さまざまな愛の形がある。

さまざまな愛の形のバリエーションとして、最近恋愛をテーマにした邦画を立続けに、いくつか観ていることになる。
殿の側室となったかつての幼なじみへの、萌える思いを胸に秘めたまま忠勤に励むお侍もいれば(蝉しぐれ)、34歳でおじさんと呼ばれつつも若い娘と恋に落ち、でも死んでしまう写真屋もいる(8月のクリスマス)。

そして今回鑑賞したものは、高貴な家柄に生まれながらもいささか屈折し、道ならぬ恋愛に足を踏み入れ破滅していく二人の姿であった。「春の雪」である。

高校時代にそれなりに読書に励んだ僕だけど、実は三島由紀夫というのは手を出していない作家の一人である。この映画は、遺作「豊饒の海」の第一部にあたるものらしいけど、そのようなわけで物語に対する予備知識はとくに持たずに鑑賞している。

ただ既に予告編は目にしていたわけで、その内容から勝手に、かなりエロエロな映画なんだろうなとは、ひそかに思っていた。この前観た「ジョゼと虎と魚たち」でもわかるように、妻夫木聡というのはあの若さでありながら、既に男のエロを演じるのに長けた役者なのだ(たぶん私生活で実践しているんだろうナ)。だから、そこを期待して観に行ったわけなんだけど…。

でも、結論からいうとエロ度はそんなに高くなかったね。まあ内容が内容だけに濡れ場というものはそれなりにあるのだが、結局竹内結子は脱がないのである。唯一出てくるヌードは、女中のものくらい。そんなあ。。

ということではあるが、愛の形のバリエーションの一つを考えるお話として、まあそれなりに楽しんだ。
そもそも本当に華族があんな字句通りの華やかな生活していたとは思えないけど、いわゆるイメージ通りの絢爛さというものを映像化しているのは、楽しい。カメラワークの綺麗な映画だよ。


それにしても仏さんの国から留学してきたのにやたら愛について語りたがるシャムの王子二人。彼らはなかなか面白いキャラであったな。ふふ。

何より忘れることはできないのは主人公・清顕の親友、本多であろう。本多、おまえはつくづくいい奴だよ。物語の冒頭で清顕にかなりひどく陥れられそうになっていながら、にもかかわらず友人として変わらずつきあって、物語の最後まで清顕に尽くして。

思うにそういう男って、どこにいるものなのだ。一見華やかなスポットを浴びる清顕と聡子、しかしこの二人が身を滅ぼすのはまさに自業自得、ひっきょう以外のなにものでもない。そして世の中は本多、おまえのようなやつこそ幸せになるべきなのだ。

本当に本多はいい人です。いい人ぶりを応援してあげてください。

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