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April 14, 2006

県庁の星

就職戦線異状なし」で、バブル真っ最中の時世に理想の就職活動を模索する大学生の姿を演じ、「踊る大捜査線」では大組織の論理に翻弄されつつも生真面目であろうとする若い社会人を演じていた俳優・織田裕二さん。

そんな彼も38歳…。精悍な顔立ちはずっと変わらないが、内に青臭さを残して正論を梃にがんばる役回りだけではそろそろしんどいのではないかと、数年前から心配になっていた。たとえばそこが湾岸署なら、いつまでも下っ端刑事の役回りじゃないだろう。部下もつくだろうし、とすれば上司との間に立って折り合いをつける場面も出てくるだろう。普通の組織ならそんな年次なのだ。

現実問題、30代にもなって青島刑事みたいな人って、職場にいたら困りませんか?


さて、おそらく「踊る大捜査線」以外では、「ホワイトアウト」以来の映画作品になるんじゃないかと思う、「県庁の星」。こたび彼が演じた役は、地方公務員のエリート候補生であった。うーん、徐々にエスタブリッシュメントに近づいていっているようですねえ。

僕は、原作の小説を既に昨年の秋読んでいた。なるほど、映画化するにはちょうどよい案配のストーリーだと思っていた。ただ、原作の印象からすると、織田裕二は年齢がいささか上だし、柴崎コウは若過ぎる。そうですね、織田裕二は伊藤英明で、柴崎コウは桃井かおり(!)くらいな感覚だったかなあ。

映画としては、典型的な職業理解を背景として、典型的なストーリーを典型的な配役でこなしているというところか。これはたぶん、ある種のわかりやすさを譲れないお約束として求められたのだろう。そのなかで、製作者や出演者のみなさんはそれなりにがんばったということなのだろう。


ところで話を戻すと、何が仕事上のリアルって、年代によって変化するよね。だから20代後半の青島刑事の時に見えた組織のリアルと、30代後半の野村係長(本作品で織田裕二さんが演じている役)から見える組織のリアルって違うだろう。どこをリアルの落としどころとするか。

そこをこの映画では、原作にはない要素をいくつかと付け足してラストに見せているのだが。これが成功していると感じるか、失敗していると感じるかは人それぞれかもしれない。ご覧になってみてください。

ただ、行政のリアルという観点では、きわめて基本的なところで疑問符がつく。なぜ一介の行政職員が、選挙によって選ばれた代表である県議会議長と、県議会(のようなところ)で対峙できるのかが不思議。権力分立の前提からしてありえないと思い、この、あまりの非現実的な場面に僕はひるんだ。おいおい、見る側になじみの薄い世界だからといって、こんな描き方をしてもよいのか?

いや、そう思うのが間違いなのかもしれない。考え直すとしよう。これはフィクションなのだ。おそらく映画「県庁の星」の日本には、われわれの日本国憲法はなく、地方自治法もなく、そこには別の法治が働いているものと考えよう。つまりこれは、われわれの知るガバナンスとは異なる精神によって築かれた世界の、行政改革の話なのですよ。たぶん。


って深く考え過ぎかな。織田裕二さんや柴崎コウさんが演じるお話って、そもそもが万事そんな程度のものなのかもしれない。


  

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