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July 05, 2006

初恋

「初恋」と聞くと、島崎藤村の詩が脳裏に思い浮かぶ。そう、「初戀」と題されたあの詩だ。

 まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の
 林檎(りんご)のもとに見えしとき
 前にさしたる花櫛(はなぐし)の
 花ある君と思ひけり

 やさしく白き手をのべて
 林檎をわれにあたへしは
 薄紅(うすくれなゐ)の秋の実に
 人こひ初めしはじめなり

 わがこゝろなきためいきの
 その髪の毛にかゝるとき
 たのしき恋の盃を
 君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

 林檎畑の樹(こ)の下(した)に
 おのづからなる細道は
 誰(た)が踏みそめしかたみぞと
 問ひたまふこそこひしけれ


なんだか、読み上げているとちょっと胸がキュンとするよね。自分の初恋の記憶なんて忘れてしまったが(そもそも僕にそういう経験があったのかどうか疑問)、中学の国語の教科書に載っていたこの詩を僕はなぜか諳んじている。

この詩を思い出すと、ああ、初恋ってこういうものなんだろうなあと、たまらなく甘酸っぱくそして切ない気持ちに包まれる。


その詩にも似た味わいを、スクリーンの向こうにほのかと感じる作品。


水曜日。ノー残業デーだったので定時で退社し、映画館に向かう。向かった映画館は、有楽町シネカノン

この映画館は、僕にとってはなかなか乙なスポットである。というのもこの館は、ビックカメラ有楽町店と同じ建物(旧有楽町そごう)のなかに入っているからだ。まずは映画館の窓口に向かい、券を買った上で、ビックカメラの店内を散策する、ということができる。情報家電やPCを見て時間を潰すのは飽きないものだ。

さて、本日有楽町シネカノンで鑑賞したのは、「初恋」。宮崎あおいチャンが主演だというので観に行った。

しかしこれ、タイトルからして切ないラブストーリーかと思いきや、あの3億円事件を描いた作品だという。3億円事件が舞台なのに、初恋とはいかに…? といぶかしく思いつつスクリーンを眺めていたわけだけど…正直、女子高生の切ない恋心にどうして3億円事件が絡むのか、腑に落ちなかった。

しかしこれは、そういう原作があるわけなのね。

劇中、映し出される1960年代という時代の雰囲気みたいなものは、興味深かった。改めて数えてみると、60年代ってもう40年近く前なんだなあ。ああ。


ところで話は変わるけど、主演の宮崎あおいチャンについて言えば映画「NANAでのハチ役での好演も記憶にあるのだけど、さらに新しくはNHKの連続ドラマ「純情きらり」でただいま主役・有森桜子役を演じていることが僕にとっては印象深い。

なぜかといえば、このドラマが舞台にしている岡崎市は、僕が生まれ育ったところだからだ。そして劇中では、宮崎あおいチャンが、おそらくは演劇指導を受けてのたまものであるが、三河弁らしき言葉を口にしていたりする。

三河弁が標準語だと思って育った地元の人間からすれば、それはとてもライトな、ライトな三河弁なのだけど、初恋で切ない演技を見せる彼女が、僕らと同じ言葉をまがりなりにも話そうとしているのだ。その事実に、僕はたまらなく乙なものを感じてしまう。はぁああ。

初恋の切なさと、僕らの言葉・三河弁が、宮崎あおいを通じて結びついたのだ。萌え…。


 

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