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August 27, 2006

ゆれる

予告編のラストにある文句のとおり、心が揺さぶられる映画であった。観てよかったと素直に口にできる、かな。

27日の夜、新宿で鑑賞した映画「ゆれる」。

こんな感想を抱いてしまったのは、ちょうど僕が男二人の兄弟に生まれたからかもしれない。そう、この映画はそれぞれ異なる人生を歩んでいる兄弟が主役の映画。二人が久々に再会した時、吊り橋から幼なじみの女性が落ちるという事故(あるいは事件?)が起きる。

そして映画の題名「ゆれる」とは、実際に事故(または事件)の起こった吊り橋そのものの揺れにかけて、微妙に揺れ動く兄弟の心理を象徴的にあらわしたタイトルである。うん、たしかに観ている間、ずっと揺れていた気がするよ。


スクリーンの向こう側で田舎町で家業を継いだ兄を演じるのは香川照之、東京のカメラマンである弟は、オダギリジョーが演じる。繰り返しになるけど同じ男2人の兄弟という立場で、ちょうど同年代くらいの主人公たち。だからついつい自分の経験と比較したり、投影したりしてしまったのだ。

もっとも我が家の場合、東京に出てきて働いているのは兄のほうだし(弟は地元で一人暮らし)、両親はまだ健在で継ぐべき家業があるわけでもないし、とくに一人の女性を奪い合うような関係もない。だから早川家の場合より事態はずっとよいといえる。

しかし、とはいえ我が家も元農家であるから、昔から伝わる家屋とか土地とか墓とかの管理は今後考えていかなきゃいけないだろうし、しかしそれにしても二人ともまだ結婚もしていないし、一方で法事や盆の帰省なんかで弟と会話すると、「結婚するつもりはない」とのたまったりして、将来をちゃんと考えているのか考えていないのかよくわからないし、共に同じ親の子として育った記憶を共有する関係ながら、おいおいいつからこんなふうに違ってしまったのだ、と思うことがないわけでもないのである。

そんなわけで、スクリーンの向こうに映し出される兄弟の関係と、彼らが互いに織りなす感情の振幅に、僕のハートもビビッドに反応してしまったのだ。


監督のプロフィールを見ると1974年生まれ、とある。1974年か、弟と同い歳だ。まだ若いのに優れた才能をもち、しかも女性であるのにも関わらずこの映画では男兄弟の関係をうまく描いていて、ふうむと思ってしまう。

ミニシアター系なんだけど、かなりプッシュしたい映画だといえる。個人的には、香川照之の豹変ぶりに注目か。そう、兄というのはだいたいにおいて“いい子”なのだろうけど、その実、内面はそれだけ屈折しているのですよ、フッフッフッ…。

間宮兄弟」が満足できた人に。あるいは「間宮兄弟」が十分満足できなかった人に、それぞれオススメしします。


 

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