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August 05, 2006

ハチミツとクローバー

映画を観ていて、なんだか大学生の頃を思い出した。

蒼井優チャンと櫻井翔クンとその他大勢の若者が出てくる映画「ハチミツとクローバー」だ。えーと、人気少女漫画が原作の映像化作品なんですかね。みんながみんな片思いをしていて、告白もできずにうじうじしているというストーリー。


思い出したというのは、それは、この主人公たちのように俺も片思いしていて告白もできなかったなあ、と自分を重ねたのはまず大きい。当時の優柔不断ぶりを思い出して胸がキュンとする。僕はいまでも全然モテないのだけど、ただ、いまの経験を持ってあの歳に戻れたら、つまり多少の度胸とか開き直りとかを身につけていたら、幾人かの女性の心を射止めていたであろう(…って全くの希望的観測)。

スクリーンのなかでの片思いぶりに、僕の記憶のスクリーンが重なったというわけだけど、大学時代を思い出したのもそれだけではない。

登場人物たちがそれぞれ個性が強く、みなユニークな面々が揃っていたからだ。


いやあ、俺も大学の頃って、周囲はそうだったよなあ。もちろん「ハチミツとクローバー」は映画だから、ストーリーにあわせてやや都合良くそれぞれのキャラが造形されていた感はあるけど…でも、大学ってとにかくヘンな奴が多かった。

考えてみれば社会人になって、会社に勤めるになってからは、みんな常識人でかつてのような面々に囲まれない。お互いが想定の範囲内で、当たり障りのない会話を交わすことになってしまう。寂しい、実に寂しい限りだ。

という話を、僕と同じくこの映画を鑑賞した同僚にしたところ、さっくりと「いや、俺の大学はとくにそういうことなかったな」と言われた。

うーむ。やはり僕が学んだのが「文学部人類学科」というところだったからなのだろうか? そこには、民族学と考古学を愛する若人たちが集っていた。ちなみに学科の男女の比率は半々か、やや女性が多いくらいだった。ロマンスはなかったけど(僕には)。


それは、僕の青春だった。

土器の文様を調べると製作した縄文人が右利きだったか左利きだったかわかると教えてくれる授業。「最近何に興味があるの?」と聞いたら「うーん、馬具かな」と答える考古学専攻の女の子。イスラムに改宗しようか迷っている民族学専攻の男。エジプトに旅行してカイロでピラミッドのてっぺんまで登って地元の警察に捕まった後輩の男。ベトナムの宗教を卒論のテーマに選び「ベトナムには、ココナッツを飲んで健康になろうというココナッツ教ってのがあるんだよ!」と目を輝かせ報告するゼミの同級生…。

僕がすっかり、普通の真人間に見えるくらいだった。いや、普通だったんですけどね。

あの頃は本当に楽しかった。みんな自分が追究するものを持っていた。小難しい理屈をこねくりまわし、他人にはよくわけのわからない話題を口走っても、お互いの会話が成り立った。みんなとんがろうとしていたし、いかにとんがっているかが価値だった。

映画「ハチミツとクローバー」を観てそんな時代のことを思い出したのだ。美大と文学部の違いはあれど同じ空気を感じたのだ。そしていまやサラリーマン化してすっかり丸くなってしまったわが身に立ち返り、深く反省したのだ。実に。

もっとヘンにならなきゃダメだ。変わらなきゃ!


それにしても、ところどころで劇中に登場していた、ぼやけた黒猫の姿。あれはなんだったんだろう?何かを象徴させているのかと思って、出てくるタイミングを自分なりに注意して観ていたのだけれど…結局よくわからなんだ。むむむ。みゃあみゃあ。


 

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