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September 10, 2006

ユナイテッド93

予定のない休日。暇なので部屋でとりあえずネットサーフィンをする。

で、あちこちめぐっているうちに「世界飛び地領土研究会」なるサイトに出会う。これが滅法面白い。わぉ。ついつい読み込んでしまう。

Sekaitobichi「飛び地領土」とは、本国との位置関係が飛び地のように存在している領土のことを言っているらしい。サイトの冒頭には「世界地図を眺めているとナゼか気になる飛び地や、飛び地のような小さな植民地その他各種の怪しい地帯を研究しています 」とある。

で、内容が飛び地だけではないのである。純粋な飛び地だけでなく、見方によってはたしかに飛び地領土といえる各国の植民地の紹介とか、さらには「消滅した国々」「非公認の国々」「作り損ねた国々」なんてコラムも用意されている。

それぞれについて、情報量の実に豊富なこと! 一朝一夕にできたサイトではなく、何年かをかけて順々に拡張していまの内容になったらしい。いや、中学1年の時に井上ひさしさんの「吉里吉里人」に出会い、以後独立妄想にかられた僕にはたまらん内容である。

僕はこのサイトの開設者の人となりを寡聞にして知らない。しかし、通である。そして粋である。こんなに魅了されるサイトに出会ったのは「さざむし」以来だといえる(…思い出せば、この「さざむし」は実に衝撃的な内容であった。初めて見た直後は、飯が喉を通らんかった)。

ということで「世界飛び地領土研究会」、このブログを訪れたあなたがもし歴史・地理好きだったらおすすめしたい。知的快楽に満ちた暇つぶしができるであろう。

さて、今日も映画館に出かけた。というのも行きつけのシネコンが、9月は会員カードを持っていると料金が全て1,300円というキャンペーンをやっているのだ。見ないと損というものである。

今日見た映画は、「ユナイテッド93」。今年で5周年を迎える、9.11大規模テロにかかわる映画だ。

あのテロの際、4機が自爆テロ犯によってハイジャックされながらも、1機だけ目標に到達せずに墜落した航空機があった。それがユナイテッド航空93便だ。

確認された事実ではないが、乗客から家族への通話への内容から乗客がハイジャック犯たちに立ち向かったという推測がされており、多くの人々の心に刻まれた“神話”となっている。そのストーリーの映画化である。


この映画が製作されたことは、村上龍さんが編集長を務めるメールマガジン「Japan Mail Media」の2006年5月6日発行の号で、冷泉彰彦さんがコラム「from 911/USAレポート」(第249回)で紹介していて知っていた。このコラムを読まなければ、早くもあの悲惨な事件をネタに商売を企てる輩がいるのか、という思いを抱いて見ることはなかっただろう。

しかしそのコラムでは、米国公開時の「静けさ」を伴った反応、観客の反応、そして内容の評価できる点と注意しなければいけない点などを浮き彫りにしていた。この映画がたんなる商業主義でも、政治的な作品でもないとわかったのが僕を劇場に足を向けさせたきっかけだった。
(残念ながらJMMはバックナンバーを公開していないので、そのコラムをご覧いただくことができない)。


観終わっての感想だが…。これは、相当なインパクトに満ちた映画であることは誰もが認めるだろう。

ラストを迎えた時、劇場は静寂に包まれた。エンドクレジットが流れ始めても、多くの人はこわばって体が動かなかったのではないかと思う。あの、2001年9月11日のそれが起こる過程を、(機内の部分はフィクションであるとはいえ)スクリーンを通して追体験したのだ。

感極まって、僕の僕の眼球をおさめる窪みから水がしたたりおちるほどであった。

エンドクレジットが流れるのを眺めていると、空港関係者や軍関係者の何人ものキャストが、AS HIMSELFとなっているのに気づく。AS HIMSELF…本人が演じていたというのか。むむ。ナルホド、これは真に迫っているはずだ。
(あとでJMMの冷泉彰彦さんのコラムを読み直してみたら、なるほどそのことに言及されているのだけど、その時の僕は内容をすっかり忘れていたのだった)。


さて、実際の機中で何が起こったかは誰にもわからないわけだが、ユナイテッド航空93便の乗員や乗客が、そのささやかな希望に満ちた日常を突然絶たれ、恐怖と絶望のなかで死を迎えたことだけは間違いない。

それは93便だけでなく、世界貿易センターやペンタゴンに飛び込んだ3機の乗員・乗客や、そのビルの内部にいて命を落とした人もそうであった。

彼らだけでなく、その後に始まって今に至る一連の戦争で多国籍軍の攻撃を受ける側になった国の人々だってそうだろう。本人たちには何の罪もないのに突然の災厄に巻き込まれ、そして希望を絶たれたという点では同じである。やるせない。実にやるせない。

もっと広げて考えれば、先の大戦で同じように戦災に遭い命を落とした父祖の世代の人々や、あるいは逆にこの国が起こした行為で命を落とした近隣諸国の人々だって、同じように突如として希望を絶たれたのだ。たまたまその時代、その地域に生きていたということで。

そう思う時、そうした不幸な事態が人々の上に降り掛からない世が来ることを、切に願って止みません(…天皇陛下のコメント風だな)。

もっとも、そうした事態が起こらない世が来ることは、現実的には難しいだろう。おそらくは不可能かもしれない。ただ、そうした事態ができるかぎり起こり難いようにする努力は必要であろうし、それを具体的に考えて実行していかなければいけないのではないかと、感じた。


 

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Comments

はじめまして。
僕もユナイテッド93見ました。
本当にやるせないですね。
天災ではないわけですから
人間の努力は最大限必要ですね。

Posted by: moving-planet | September 13, 2006 10:10 AM

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