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February 18, 2007

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

2月18日。

前の土曜日は休日出勤をしたのだけど、この日曜日は知人とラゾーナ川崎を散策する。その後ラゾーナとは線路を挟んで反対側にあるTOHOシネマズ川崎で映画を鑑賞。

タイトルは、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」。

2007年のある日、偶然に開発されたタイムマシン。財務省職員の下川地(阿部寛)は、タイムマシンを発明したまま過去に旅立ち行方不明になっている女性技術者の娘・真弓(広末涼子)に秘密を明かし、こう告げる。

「頼む。17年前に戻って、バブル崩壊を止めてほしい」


僕は、1991年に大学に入学した。

僕が通った大学は名古屋なんだけど当時、質実倹約といった気質で知られるその地の学生生活にも、好景気の余波というのが押し寄せていた。

当時、様々なインカレサークルが集って開催する学祭のようなイベントがあった。その抽選で当たる景品が自動車だったことを覚えている。企業からの協賛で得たものだ。あるいはイベント好きの大学生がクルージングパーティーを企画し、男女の参加者を募っていた。こちらは柄ではないから僕はとくに参加しなかったけど。

先輩方の就職活動は、みな強気だった。国立大学である隣の名大の卒業生はもちろんのこと、私立大学で、民族学と考古学を専攻する僕の学科の卒業生ですら、一流の銀行やマスコミ、あるいはメーカーに就職を決めていた。

それを振り返ると時代はたしかに、バブルだったと思う。


個人的に、あの時代の雰囲気を象徴していると思っている映画がある。

一つは、「マルサの女2」(1988年公開)だ。1ではなく2のほうね。前作に続いて国税局査察部の活躍を描いた作品だけど、新興宗教やら土地取引やらテーマとなっていて、とにかくバブル期の東京で繰り広げられていた地価狂乱なるものがどのようであったかがよくわかる。

もう一つは、まさに僕が大学生になった歳に公開されたのだけど「就職戦線異状なし」(1991年公開)。織田裕二クンが主人公のこの作品、売り手市場のなかの大学生の就職活動がいかなるものだったかを描いている。これ、就職氷河期の当事者にぜひ観てもらって、バブル入社の中堅社員に負けないよう闘志を燃え上がらせてほしいと思っていたのだが…気づけば世の新卒採用は、団塊世代の大量退職を見越して再び売り手市場になっているのね。


 


さて、そんな時代だったわけだけど、僕が就職活動をする頃にはバブルがはじけていた。

たしか4年生の時、家に帰る途中のクルマのなかでつけていたラジオのニュース解説で、「長引く不況」という表現がされていたのを聞いた気がある。

調べてみると、中公新書でベストセラーとなった「複合不況 ポスト・バブルの処方箋を求めて」が出版されたのが1992年6月だから、その時にはバブルがはじけたという認識が世間に定着していたのだろう。

しかし、その時はまさかその先15年に渡って日本経済が苦しみ続けるなんて、想像だにしなかったわけだが。

思い出せば就職活動の最中に、東京の都銀に就職した先輩を訪ねて食事をしていたところ、「この不景気はちょっとやそっとじゃ終らないよ」と彼はつぶやいていた。その時の僕は景気不景気といえば数年単位で循環するものだと思っていたので、「まさか」と答えて信じなかったのだけど、その先輩の予測は見事正しかったことになる。

ふむ…。

どうでもいいけどその先輩の勤務先の銀行は、その後の再編で他の銀行を吸収する側に回っていまも残っている。そして先輩自身はANAのスチュワーデス、じゃなかったキャビンアテンダントの人と結婚した。表面的にみれば勝ち組。いや、名大にいた時分からスマートで頭の切れる人だったよなあ。


 


映画は単純なストーリーなんだけど、そんな過去の時代のあれこれを思い出して、面白かった。

それにしても、バブル崩壊のきっかけからもう17年か。イラクが隣国クウェートに侵攻した年であり、ソ連が崩壊する前年に生まれた赤ちゃんももう高校生ということになる。つまり、いま入社してくる新卒の社会人とか、大学生はもうバブルの記憶なんて全く持っていないってことなんだよなあ。

劇場ではその世代の観客も多かったように見えたのだけど、彼らの眼にこの映画が映し出した風景はどう感じ取られたのだろう?

そんなことを思った。

あと、この映画が話題になるゆえんには、ホイチョイ・プロダクションズのメンバーの手による製作、ということが大きいのだろう。

ホイチョイ・プロダクションズといえば、「私をスキーに連れてって」とか「彼女が水着にきがえたら」で、“いかにも典型的”なバブル期の若者文化をリードした存在だった。

その彼らが、自ら主役となって躍ったバブル経済の崩壊を題材に映画を作ったと聞けば、往時を知る人にとっては究極のパロディと映るだろう。実際僕も一人ひそかにニヤリとしてしまったクチなのだ。


ただ、家に帰ってよく考えてみると、仮にタイムマシンが発明されたとして、それを知った財務省職員が頼むことは、「バブル崩壊を止めてくれ」ではないだろうと思った。

そう、やめさせるのはバブル崩壊ではないのだ。のぞましい日本はレインボーブリッジが3つもかかった現代ではない。

冷静になって考えれば、口にするのは「バブル発生を止めてくれ!」というセリフになるだろう。日本の財政を考えるならば、そちらのほうが正しい。

しかしそれでは映画はできない。だからこの物語を成り立たせる限りにおいて、「バブル崩壊を止めてくれ」という発想は許される。まったく正しい、ということになるわけなんだが。


そこで僕が想起するのは、「失われた10年」という表現をめぐる問題提起だ。

日本の90年代は、しばしば「失われた10年」と呼ばれる。だが失われたのは10年ではなく、実は「失われた20年」ではなかったのだろうか? そんなことを、2000年に放送されたNHKスペシャル「“失われた10年”を問う」のなかで作家の村上龍さんが言っていた。

つまり本当は、70年代の高度経済成長が終わった後に方向転換するべきだったというのだ。それを石油ショックや円高不況を乗り越え、かつての記憶のままにまた振る舞って再び踊ってしまった。

成長が終わった国には、誰にも共通の同じゴールがあるわけではない。成熟した、多様性のある社会を模索するべきだったのに、それをしなかった。ゆえに失われたのは“10年”ではなく“20年”だというわけだ。

そう。だから、もしタイムマシンがあるなら、止めるべくはバブルの発生のほうをこそなのだ。


 


ところでこの映画、馬場監督がどこかのインタビューで言っていたと思うけど、できればもう少し前に作って公開するべきだったと思う。そう、小泉さんが総理大臣になった直後の頃、おおよそ5,6年くらい前ならまさに旬でありもっとヒットしていたと思う。

なにせいまや景気は回復局面、就職活動も上述の通り売り手市場だしね。時代は再びバブルだ、と馬場監督は言っていたようだけど。

やっぱりこういうネタは、状況がバブルと対極にある時にこそ出さないと…。


そういえば、映画には長銀に就職し、その後銀行が潰れたおかげで借金取りになった男というのが出てくる。

僕の記憶では長銀は潰れたのではなく、たしか国有化されたのだと思う。でも端的な表現を選べば、“潰れた”という分類に入るのかもしれない。

僕の友人にも実際に長銀に就職した男がいた。いまは幸い借金取りの身に落ちぶれることもなく、新生銀行に勤務している。つまり国有化されても、外資に売却されてもそのまま勤め続けたというわけだね。

一昨年、その友人に再会した時、彼はこんなことを言っていた。「みずみず、日本はやばいよ。これから景気が回復したら、利子が上がる。そうなると借金だらけのこの国はもうもたない」。

「この国は、これまで借金で潰れそうになると戦争をやってチャラにしてきた。でもこれからはどうするんだか」

残念ながら僕には経済の知識はない。だから彼の言っていることの信憑性や深刻さがよくわからない。でも、かつて「この不況は長引く」と予測した都銀の先輩もそうだったように、銀行にいればいろいろな経済や金融の状況が実感としてつかめるだろう。ましてや、長銀、新生銀と変化をくぐりぬけてきた男の発言だ。

うーん、もしかするとこれから本当にやばいのかなあ。そんなことを思ったのだった。


 

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Comments

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Tracked on August 28, 2007 11:21 PM

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