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May 06, 2007

クィーン

最近、♪「千の風になって」という歌がヒットしているという。

テノール歌手の秋川雅史さんという方が歌っていて、紅白歌合戦にも出場したらしい。それが話題になってこのほどフジテレビでドラマ化されることも決まったようだ。

僕はこの歌の存在は最近まで全く知らなかった。それがつい先日、ゴールデンウィークの初日に唱和する機会があった。僕の地元で友人が亡くなったのだけど、その数週間後、彼女のお別れ茶話会が催されたのだ。


 Owakare


その席で詩を書いた紙が配られ、最後に出席した方々みなで歌った。それが、「千の風になって」だった。

実はわりと親しくしていた人だったし、還らぬ身となった彼女の無念や、彼女のご家族の気持ちを考えると実に切ない心境にはなっていた。そんななか、この詩の言葉にはたしかに救われたような気がした。

そう思うとヒットしているのも頷ける。それで別の友人に、「知らなかったけどこんな歌があるんだね」と伝えたら、「だいぶ前から有名だよ。遅いよ」と返された。

ふむ…。


 


さて、そんな詩の存在を知るところから僕の大型連休はスタートしたわけだけど、その連休の最後の日に行ったことは、映画「クィーン」を観に行くことだった。

例によって何もすることがなかったので、一人でぶらり映画館、という次第である。


1997年8月、パリでダイアナ元妃が交通事故に遭い、還らぬ人となった。英国全体が衝撃に包まれ、悲嘆にくれるなか、王室は沈黙を続ける。ダイアナは既に王室と関係ない人物であって、その死はあくまで個人的なできごとと考え対応する王室一家。一方でダイアナを讃える国民の声を目の当たりにして、女王の心は揺れ動く…。とまあ、そんなお話。

このストーリーでまずしみじみ思うのは、まず、ダイアナさんの事故からもう10年もたつんだな~、ということである。正直、ちょっと驚く。そういえばあの年の10月に会社の仕事でスイスに出張したことがあった。あちこちの雑誌でダイアナ葬儀の写真を目にしていたような記憶がある。

それでこの映画の主人公は、タイトルの通り英国女王、エリザベス2世陛下。でもってこの女王を演じたヘレン・ミレンさんが、アカデミー主演女優賞を獲得したということで話題になっていたりもする。

だけど僕は、実は「ブレア」ってタイトルにしてもいいんでは、って観ていて思った。

というのも、英国首相に就任したばかりの若きトニー・ブレア氏がこの物語のもう一人の主人公。国民と王室の間の橋渡し役として、ブレア首相が大活躍する映画なのだ。


そう。1997年といえばちょうどブレア政権が発足した年だったんだね。

映画はブレア政権の発足とダイアナ元妃の交通事故が間髪入れずに起こったかのように描いている。実際にはブレア政権発足が5月で、ブレア政権の発足とダイアナ元妃の事故は8月31日だから、少なからず間はあいているのだけど。まあ、あまり重箱の隅をつつくのはナシとしておこう。

さて、いま現実の世界を目に向けてみれば、まさにブレアさんの退陣表明の報が世界をかけめぐっているところである。だいぶ前から支持率は低迷し、いつ辞めるかということとと後継が誰になるかということばかりが焦点になっていた。ブレアさんは、いわば死に体の総理大臣だ。

そんな現在の姿とは裏腹に、映画のなか就任したばかりのブレアさんはまるで違う。バイタリティーに満ちた政治家で、国民の声を機敏に察知して行動し、危うい危機のなかにあった王室をも救ったんだよ、と…。

つまりこれは、いまは損なわれてしまったある政治家の栄光に対するオマージュなのである。

劇中のブレアさんは、民衆の声に耳を傾けなければ王室の存続が危うい、と女王の心を動かす。そしてその後幾年かたち、こんどは自らが国民に背を向けられ、内閣の存続ができないところに追い込まれてしまったというわけだ。

栄枯盛衰は世のならい、ってものだよね。

うん。


ちなみに女王陛下が別荘の敷地内ながら自ら自動車(四駆!)を運転するシーンに、英国王室ではそういう行動の自由があるのねって、ちょっとビックリ。

まあ日本でも、皇后陛下が自動車免許を取得されたという記事を目にしたことはあるし、皇太子妃殿下も外務省職員の頃にカローラIIで通勤されていたと思うけど。だけどいま実際に運転をされているという話は聞いたことないしね。

ロイヤルご一家といっても違うものだ。

それにしてもご一家、ダイアナ元妃が還らぬ人となったばかりというに鹿狩りというのはさすがにまずいだろ。そういう時には殺生を避けるのは常識以前だ、と感じてしまうのだが、それも仏教的世界観に身を置いているからなんだろうか。

国が違えば、考え方も違うものだ。

そもそも実在の人物を取り上げて映画が作られること自体が、日本では許されない考えだろうとは思ったけど。ふむ。国が違うのだな。

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