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July 01, 2007

パッチギ! LOVE&PEACE

7月2日。

会社が創立記念日のため午後、半休となる。

昨年の創立記念日は職場の同僚数人でボウリング大会となったのだけど、今年はとくにそういう企画にならなかったので、ひとり街に出て映画を観る。

この日を振り返れば、職場でのボウリングとかカラオケの企画が入る年もあれば、全く何のイベントのない年もあって、そういう年はたいてい映画を観に行っているな。


さて、そんな日のために前々から観たいと思っていた作品があった。それは、「パッチギ! LOVE&PEACE」だ。

もともと前作の「パッチギ!」がけっこう面白かった記憶があるので(その時のブログ)、それで続編もぜひ観たいと思っていた。

加えて、僕が購読しているメールマガジン「JMM」(Japan Mail Media)で編集長の村上龍さんが「微熱がある状態で見たのですが、とても面白かったです。「半島を出よ」の取材で多くの在日コリアンに会いましたが、彼らに共通する「熱さ」が、スクリーンにあふれていて、メッセージも明快で、照れのないストレートなものでした」と感想を記していた(5月21日号)。それで益々観に行きたい気分が高まった次第なのだ。

公開が開始されてかなり時間がたってしまっていたのだけど、まだ上映を続けている有楽町シネカノンで、月曜日の午後のひと時を過ごしたのだった。


前作「パッチギ!」が面白かったといっても、実はストーリーの細かいところは忘れてしまっていた。覚えているのは、沢尻エリカ演じる在日コリアンの女子学生が朝鮮学校の制服姿でフルートを吹いている姿(萌え…)と、その兄である番長が冒頭、怒って朝鮮学校の荒くれたちを率いて日本の高校生の乗った観光バスを倒してしまうシーンと、あとは劇中で奏でられる「イムジン河」の調べと…そのくらいだったりする。

そんな状態で観たのだが、本作「パッチギ! LOVE&PEACE」、前作の6年後(1974年)という設定ながら、俳優たちは前作と全く替わってしまっている。だから、あまり続編という意識は持たずに、新鮮な気持ちでスクリーンを眺めたのだった。

作品は、村上龍編集長のいうとおり、在日コリアンの熱さをストレートに描いたものだと思う。主人公の一家が出会う喜びや悲しみをそのまま描いている感じ。ところどころに現れる、彼らがその出自ゆえに直面する矛盾や偏見に、観客ははっとさせられる。まあ、映画だからストーリー展開は大げさだし、最後は意味なく大騒動になって終わるのだけどね。


この物語のなかで、キョンジャ(今回は中村ゆりチャンが演じる妹ね)は芸能界に入る。そして紆余曲折の末、太平洋戦争を舞台にした映画のヒロインを演じることになる。

戦争を美化したその映画の撮影が進行していく様子が描かれる一方、途中からアンソン・キョンジャ兄妹の父の大戦中の体験が重なる形で挿入されていく。

劇中の映画は、特攻隊の青年を英雄として戦争を美化した内容。かたや回想は、日本の植民地支配にあった朝鮮半島の人々の苦難と戦場の悲劇を映し出す…。むむ。これは!?


これって、もしかして石原慎太郎さんの指揮で製作されたあの映画へのあてつけですかい!? いや、まさにそれ以外の何者でもないでしょう。

「私は、愛するもののために死ぬなんて言ってほしくない。愛している人には、どんなことをしても、生きて帰ってきてほしいと思います!」。映画のお披露目の試写会の席の壇上でキョンジャが叫ぶ。完全に映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」を意識したセリフである。

ううむ。ここまで露骨にやると、もしかすると眉をしかめる人もいるかもしれない。みんなどう思うのかなあ、とちょっと心配になる。

そもそも戦場に赴く兵士たちについて、なんともしてでも生きてくれと願うこともあれば、あるいは死に至ったことに美しい理由を求めることもある。それは、どちらも同じ人の心の働きだ。アチラの映画は、そのある片方の側面にスポットをあてているに過ぎない。その辺り、慎重に扱わないと反感を買ってしまうのでは…。


でも、その後思い直した。いや、これはこれでいいのだ。

これは井筒監督が、最も言いたかったことを素直に表現しているところなのだろうから。

みんな何かに遠慮して、周囲をうかがって意見を言わないといけないような時代状況のなかで、ちょっと過剰に思えても、まっすぐメッセージを打ち出しているのだ。たとえばいまの時勢をして、次第に右傾化していると見るならば、それ反対する立場の方々が異を唱えられないのもヘンな話だ。いま、そういう異議申し立てが世の中にあってもいいだろうし、井筒監督はその役割を自認しているだろう。

あえていま、こんな映画を作ることこそが、パッチギ(“頭突き”、“突き破る”の意)なのだ。

たぶん。


とそんなことを思って帰途についた、月曜日の夜であった。


 

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Posted by: generic cialis | October 13, 2007 at 02:39 PM

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